20歳年上の夫と、高1マイペース息子と3人暮らしのアラフィフ主婦ライター、塩辛いか乃です。
世の中「中学受験」というと、親のエゴとか教育熱が高すぎる親とか、教育虐待とか、家庭崩壊とか恐ろしいキーワードが並んでいるけれど、実際は、そんな「キー!」となる中学受験ばかりじゃないんです。
わが家も息子に中学受験させましたが、その目的は「高みを目指す」とは真逆の「逃げの中学受験」。
「教育虐待」とか「家庭崩壊」とか恐ろしいイメージのある中学受験ですが、まったくそれとは違ったわが家の「マイペース息子の、マイペース中学受験」の体験談をお話しします。
「高校受験回避」のための中学受験
育児の悩みはその年齢ごとにいろいろあって、現在息子はすでに高校1年生。16歳になろうとしているいまでも、グングン育つ息子との日々のなかでいろんな育児の悩みが出てきます。
特にうちの息子は小さいころからほかの子より敏感な子で、悩みは多かったです。
1歳のころから場所見知りがひどく、広いスペースで遊ばせようと児童館に連れて行っても、知らない場所はすべてギャン泣きで拒否。
公園に知らない子が寄ってきたら固まり、転んでかすり傷ができたくらいでも膝をガクガクさせて泣く。
幼稚園見学に行っても帰りたいとギャン泣きで年少入園を見送って、きっと発達に遅れでもあるんじゃないかと心配になり、療育センターの門をたたいたものの、知能にも問題はないし「様子見ですねぇ」とかわされて終わり。
幼稚園に入園したときは、幼稚園で緊張しすぎて直立不動だったようで、毎週持ちかえる上履きが真っ白で全く汚れていなくて、それも心配で心配でたまらなかった記憶があります。
そんなふうに悩みながら育てている息子だったから、小学校に入り、知らない間に友達がたくさんできてくると、友達と遊ぶ息子を見ているだけで嬉しくて。
「お友達ができて、楽しく学校に行けているなら、もう何もいらない」と、勉強はノータッチで放置していたのです。
ですが、小学4年生の秋にふと、息子が繰り下がりの計算もたどたどしいことに気づき、「このまま放置してははまずいのでは?」と焦り始めました。
のんびり屋で気立てはよいけれど、受験という競争に勝てる気がしない息子。
このまま公立中学に進んでいくと、なんとなく埋もれてしまいそうなマイペースな息子を、いったいどんな風に育てたらよいのかということも含めて、進路を考えはじめました。
ちなみにうちの息子の性格は、こんな感じです。ちなみに16歳のいまもこのままで、変わる気配はまだありません…。
- 競争心がなくマイペース、マイワールド
- 興味がないものには徹底的に無関心、興味があるものには没頭
- 授業中、よく宇宙と交信する(うわの空)
- ランドセルに教科書全入れで筋トレ(時間割は見ない)
- 学校からの手紙は無視。じゃばら折りでランドセルの底に
- テストの点が悪くてもよくても気にしない
- この子って、うまく伸ばせばすごい伸びるけど、育て方を間違えると落ちこぼれそう
- 手を出したくないけど、手を出さずにいられないくらいのんびり
- ゲームなら何時間でもやっていられる
- 家庭学習は0分。させようとすると身体をかきむしって泣き叫ぶ勉強アレルギー持ち
- 学校生活に問題はないけど、きっと公立中学では埋もれてしまう
- 公立中で勉強と部活を両立できる気がしない
- 1日が300時間くらいあると思っているのかというほど時間感覚がない
こんなマイペースでのんびりな息子だからこそめちゃくちゃ可愛いのですが、同時に、めちゃくちゃ心配です。
ペットならわたしがずっと面倒見てあげられますが、彼には大人になって自活をしてもらわなくてはいけません。
地域の公立の小学校に通う息子は、そのまま行けば学区内の公立中学に進学します。けれど息子の小学校は、地域的にも割と中学受験する子が多いところでした。
そこでわたしは、「なぜみんな中学受験をするの?なんか、公立を避ける理由があるの?」と、気になり始めました。
気になるとトコトン調べる性分でいろいろ調査してみたところ、住んでいる県の公立高校受験は試験の点数のみではなく、「内申点」という日常の成績が、高校受験の合否判定の際に大きなウエイトを占めるとのこと。
で、その内申(平常点)とは何で構成されているかというと、
- 定期テストの成績
- ノート提出(きれいに整理されてたり、工夫されているかなど)
- 提出物をきちんと期限内に出しているか、その気合の入り具合
- 授業態度(興味・関心)
- 部活動や生徒会などの参加(積極性)
など。要は当日試験がすごくできても、平常点がよくないと受からないということなのです。
で、うちの子が内申点をきちんと取れそうかといえば…まず無理ですよね。
超マイペース男子で好き嫌いがはっきりしていていて、嫌いな授業はうわの空、先生の気をひくために質問なんかできるわけもなく、提出物を出すわけもなく、字が判読不能で、感想文は「たのしかったです」と一行だし、ノートは気づいたら4教科いっしょくたになってるわが子には、高校受験は圧倒的不利だとわかりました。
そしてこの内申制度を見てわかったのは、ここで求められている子ども像というのは「勉強も運動もソツなくこなし全方位的にデキる優等生」だということ。
「まんべんなく頑張る子」「バランスのいい子」「先生の言うことを聞く子」。
そんな大人が育てやすそうで管理しやすそうな子が圧倒的有利になるという価値観にも疑問を感じたし、そんな最初から自分の子が不利なレースに参加すること自体がバカバカしいな、と思い始めたのです。
だったら高校受験回避のために「中学受験もアリなんじゃないか?」と考えるようになりました。