20歳年上の夫と、マイペース高1息子を持つアラフィフ主婦ライター、塩辛いか乃です。
今回は、16年間「子持ち主婦」をやってみて痛感したことについてお話しします。
それは「家事と育児って、世の中で『誰でもできるっしょ』と思われがちだけど、実際やってみるとめちゃくちゃ大変な割に、『子持ち主婦』ってえらく社会的地位が低いんだな」ということ。
こうと思ったらまっしぐら。猪突猛進タイプのわたしは「この人と結婚する」と決めて20歳年上の夫と結婚。
「人生で一度きりの『寿退職』とやらをしてみたい」と結婚を機にアッサリ会社を退職。憧れだけで脳内お花畑状態のまま結婚生活に突入。さらに翌年には息子を授かり、「子持ち主婦」としてデビューしました。
大好きな人と結婚し、子どもを授かる。人生の花道を歩いて、自分がキラキラしているように思えた時期は、そう長くはありませんでした。
先に言っておくと、もちろん家事も育児も完璧を目指したわけじゃないです。まぁそれなりに頑張ったけど、ごはん作らない日も多いし、育児だって手を抜きながらやっている。それでも私にとっては、こんな感じだったよというのを伝えたいんです。
当然個人差があるけど、あくまで「わたしの場合」ということでお読みいただければと思います。
何も考えず「子持ち主婦」デビューしてしまったけれど
まず最初に訪れた苦難は「主婦業」。勉強や仕事は成果がわかりやすく数字に表れるので、目に見える成果でやりがいを感じるタイプのわたしには向いていたと思います。
ですが主婦業の仕事は「家事」。掃除、洗濯、料理、買い出し、細かく言えば家の消防点検の立ち合いとか、消耗品の補充とか、電話回線工事の手配とか、もう地味中の地味なインフラを支える仕事なわけで。
目の前の目標に向かって成果を出し、それで認められたい、褒められたいと思うわたしが挑むには、いま思えば「ぜんぜん向いてないっしょ」とすぐにわかるのですが…主婦なんてそこらじゅうにゴロゴロいるし「誰でもできるもの」としてみなされているのです。
しかもそれが「維持されているのが当たり前」で、そこに「満点」は存在しないのが苦しいところ。
どこまでもやれるし、やらなければやらないで済む。しかもどのレベルが「満点」なのかは、雇い主の評価、つまり「夫」の独断と偏見によるわけです。
困ったことにわたしの夫は「超マメ夫」でキレイ好き。期待度がめちゃくちゃ高い人をうっかり選んでしまったわけ。
一方、せっかちで超がつく面倒くさがりなわたし。ルーティンワークが苦手で、常に新しいことを追いかけていたい性格。
「掃除なんかしなくても別に生きていけるでしょ」なスタンスで来た人間が、いざ張り切って掃除しようと思っても、やり方がわからない。
ものをどかして掃除機をかけるなんて、面倒くさすぎてできない。さすがに洗濯はできるけど、たたむのが大嫌いで一人暮らし時代は洗濯ハンガーをカーテンレールにひっかけて、そこから下着取ってました。だって一番楽で、いちばんシワにならないじゃん。たたむのも苦痛。
こんな人間が、超マメでキレイ好きな夫の期待する家事レベルをこなすことができるかといえば、まずできません。
ギリギリいけそうな料理も、おいしいもの、食べたいものを作ることが好きだけれど「毎日の義務」となると、途端にしんどくなってしまうもの。
スーパーの買い物だって、「義務化」するとしんどくなる。主婦にとって買い物は「仕事」。だってほしいものをルンルンで買うのではなく、「生活に必要な食材を、つくるご飯に合わせて予算内で購入する」というミッション。
自分の好きな食べ物を作るならよいですが、夫も子どもも食べられるものという条件がつくと、「義務度」はさらに増し、それに終わりがないと思うと気が遠くなる瞬間があります。
しかも、夫は基本褒めない。夫の好きそうなものを夕食に出して「おいしい?」と聞くと、「毎日毎日おいしいとか褒めるのめんどい」と言われてしまう。
まぁたしかに面倒だけど、やりがいを糧に生きてるわたしにはキツイのよ。食堂のおばちゃんには「ごちそうさん!」というのに、わたしには言われないのもキツイのよ。
成果出して認められてナンボできたわたしには、なかなか精神的に辛い。持ち前の負けず嫌いな性格で家事を頑張ろうとしても、そもそもの意識レベルが違うので、わたしの100%は彼の1%くらいなわけ。
夫を喜ばせたいと思っていたので、わたしは一生、夫が満足いく家事ができないんだなと思ったときは絶望しましたね。
いまはわたしが「無理」と白旗をあげて降参し、あちらがわたしに妥協してなんとかなっているけれど、そこに至るまではきつかったなぁ。
「できているのが当たり前」で、努力が認められない世界。これ、いまわたしたちが当たり前に使っている、水道やガス、電気なんかのインフラ設備を維持している人たちにも言えることですが、文句は言うけど感謝はしていない人が多いんじゃないですかね…。反省。
そして報酬は生活費。わたしのためではなく、家のために使うもの。一人暮らしで悠々自適に過ごしてきたわたしには、これもなかなかシビアな環境でした。
昔、『逃げれば恥だが役に立つ』という、ガッキーこと新垣結衣さんと星野源さんのドラマがブームになりましたよね。
ガッキーが家政婦として星野源の家を訪れ、そのうち結婚することになるストーリーですが、ロマンチックなはずのプロポーズで星野源が「結婚したほうがコスパがいいから」と言ってガッキーが激怒するシーンがありました。
「まさにそれな」と思いました。ガッキーが放ったセリフ「家事をやればやるほど報酬があがるわけでもなく、最低の生活費を保証してくれるのみで、毎日モチベーションを保つのは難しい」というのは膝を打ちました。
わたし、家事は嫌いだけれど、家事代行サービスなら結構頑張るはず。それは仕事だから。
だけど主婦としての家事は「やってあたりまえ」「できないとブーイング」な世界で、それが自分の時間をひっ迫する。オンオフもないんですよね。