塾に缶詰め状態。勉強嫌いの息子は…
そんなときちょうど塾の保護者会で隣に座ったママに話しかけ、この塾について聞いてみました。
そのママは2つうえのお姉ちゃんがこの塾を卒業したそうで、見事希望校に合格したのだとか。いろいろ話を聞きたいと思い、ランチにお誘いしていまの不安をぶつけて聞いてみることにしました。
ほかの塾はきっちりカリキュラム通りに進むのに、この塾はカリキュラムどおりに進まない。6年生で挽回すると言っているけど、本当に丸投げで大丈夫なのか?親は本当にノータッチで大丈夫なのか?と不安がるわたしに彼女は「わたしも本当に何もしてないけど、合格したわよ」とひとこと。
あれこれ話を聞いてみても、塾で何をしているのかも把握していないようだったし、本当にノータッチで丸投げで大丈夫そうだということがわかりました。
その代わり、6年生からの追い込みが相当なものだとのこと。塾長からも「6年生からは別の塾になると思ってください」と言われ戦々恐々としていましたが、5年生の3月からはお弁当持ちで9時までの授業、そこから徐々に週4回、週5回となり、受験前は日曜特訓も入って本当に「塾漬け」になるのだそう。
ほとんど塾に缶詰めになるので親はやることがないのも本当で、塾長に「送迎とお弁当だけ頑張ってください」と言われたのもどうやら嘘ではないらしいとわかりました。
でも、5年生は通うだけでいいと言われ、とりあえず週3回「行くだけ」行ってはいるけれど、そんな息子が6年生になって地獄のような塾生活に耐えられるとは到底思えませんでした。
5年生の秋をすぎ、いよいよ6年生になるとき、「缶詰地獄」になると聞いていて、勉強嫌いの息子はもたないのではと不安になり、個別に変えてゆるい受験にしようかとも悩んで塾長のところに駆け込んだこともありました。
ですが塾長は「絶対に集団クラスがいいです」と言い切る。よほどついていけないことがない限りは集団がいいと。
演習量も時間数も違うし、成果がまったく変わる。いままでの子どもたちを見ていると、うちの息子がついていけないとは思えないので、とにかくそのまま行かせてみてくださいと言われ、息子よりもわたしが心配しながらいよいよ5年生の2月、新6年生を迎えました。
いよいよ受験学年。授業開始してすぐに、6年生のクラス担任となる先生からご挨拶の電話がかかってきました。
「6年生は内容が厳しく、忙しくなりますが、お母さまは何もする必要はありません。お弁当と送迎だけよろしくお願いします」と改めて言われました。
自分の子が勉強嫌いなこと、そんな塾の缶詰に耐えられるか心配なことも先生に伝えてみました。
すると先生は「だいたい塾に行きたくないというのは、塾で叱られるからです。講師と生徒の信頼関係ができるまでは褒めて褒めて優しくします。信頼関係ができてからはビシっと叱ることもありますが、それは慎重にタイミングを見計らってやるのでお任せいただけますか?」と優しく言ってくれました。
たしかに言われてみれば、叱られて嫌かどうかって信頼関係にもよるなぁと思いました。
わたしが息子を叱ってもわたしのことを嫌いにならずに、すぐに母ちゃん母ちゃんと寄ってくるのは、日々の信頼関係があるから。そして誰だかわからない人にいきなり叱られたら、そりゃあ子どもじゃなくたって行きたくなくなるよなぁと妙に納得してしまいました。
信頼関係ができてから叱る。そんなことを意識してやってくれるというのもすごいと思ったし、この先生なら任せられそうと思いました。心配は尽きないけれど、とにかく行かせてみようと思えました。
そしてスタートを切った新6年生。先輩ママが言う通り、3月からさっそくお弁当持参で21時までの生活が始まりました。
いつ行くのが嫌だと言い出すかとヒヤヒヤしていましたが不思議なことに息子は、嫌だと言いません。
それどころか塾のクラスでお弁当を一緒に食べるようになったせいで、塾で仲良しができ、塾が楽しくなってしまったようなのです。
1年前は「塾なんて絶対に行きたくない!」と号泣していた息子が、塾で出来た友達の話をしはじめ、「小テストはあいつのほうがよかった」「今回は俺が勝った」などと勉強の話もするようになってきました。
あの自信満々で「塾楽しいって通ってます」と言い放った塾長の言葉どおり、自分の息子も「塾楽しい」と言い出し、人って環境でこんなに変わるんだなぁと驚きました。
とはいえやはり厳しい受験生活スタート。送迎に塾弁に、そして受験に、落ち着かない1年が始まりました。
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