20歳年上の夫と高1マイペース息子を持つアラフィフ主婦ライター、塩辛いか乃です。
家でまったく勉強しない、勉強アレルギーの息子を中学受験させようと一念発起。息子に合う場所を探し回って出会った運命の塾に通い、ついに受験結果発表。
無事本命校に合格し、受からないのに出願していた翌日の受験校はあっさりキャンセル。長かった受験生活を2月1日の初日で終え、まったりしていました。
中学受験は通常、2月5日くらいまで連日試験が行われます。
合格して行き先が決まった子は、まだ決まらない子に配慮して塾にはノコノコ行かないのが鉄則。
当時息子と仲がよかったあとの2人も無事1日で合格を決めたことを知り、内輪でひっそりとお祝いしようということになりました。
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ついに、塾を卒業
息子が仲良くなった子たちのママたちは、類は友を呼ぶのか、高みを目指さずに受験させる方針で、勉強も塾にお任せなタイプでした。
なので、塾が忙しい時期にはママ同士で昼飲みしたりと、世の中の中学受験生の母にはあるまじき楽しい日々を送っていました。
塾が、ほんとうに毎日遅くまで面倒を見てくれたので、「親は口を出さずに」が実践でき、冬期講習中の昼間にママたちと昼飲みし、塾弁を買って酔って届けたなんてエピソードもあります。
塾長も型破りな方で、ママ同士のいがみ合いなどが嫌いなのでわたしたちがワイワイしながら塾弁を届けに行くと、「楽しそうでいいですねぇ」なんていうほうだったので、わたしたちには合っていたのかなと思います。
付け加えておくと、そういう空気ではありますが、ちゃんとしっかりした学校の合格実績も持っているのがすごいところです。
そんな塾でできたご縁から、急遽開催されることになったお祝い会。2月2日に子連れで居酒屋で飲んでる呑気なママたちもなかなかいないのではと思います。
探り合いが嫌いなタイプなので、こういう雰囲気の場所が合って本当に助かりました。
ママたちと祝杯を挙げ、その横で子どもたちはゲームに夢中。昨日まで受験生だったのがウソのように、ただの小学生です。
もうすぐ中学生になるなんて信じられないね、と言いながら息子たちを眺めていました。
1月31日まで、最後は日曜日まで毎日通い駆け抜けた塾とももうお別れ。
不思議な気分でふわふわと過ごした2月。2月の中旬になり、塾で最後のお別れ会が開催されました。子どもたちは子どもたち同士、保護者は保護者同士での集まりです。
お世話になりまくった担任の先生にぜひお礼が言いたいと思い、参加しました。
息子と仲良しの子のママ以外とは初めて顔を合わせる方もいて、それぞれ自己紹介とあいさつを述べ。
全員が先生への感謝を述べるのでしょうと思っていたら、おっとびっくり事態は急展開。
どうやらわたしたちの知らない場所で何か大きなトラブルがあったらしく、恨みつらみのようなことをいう方もいて、その場はなんとなく凍り付いたまま終了。
やはり学校とは違い、結果がすべてになってしまう因果な商売だなぁと思いつつ、息子はこの塾と出会ったこと、担任の先生と出会えたことで人生が変わったことは間違いないのでしっかりとお礼を伝えてこの塾を卒業しました。
来たる新生活に備えた矢先、起きた事件
そして、中学の入学準備のための説明会や入学書類書類が送られてくるなど、来たる新生活に備えてウキウキしていた矢先に、事件が起こります。
塾を卒業したわたしたちですが、最後にオマケとして、塾が中学の英語数学の授業をサービスでやってくれるとのことで、数週間ぶりに塾に来たときでした。
お迎えに来て会ったママさんが「やばいよ、なんか緊急事態宣言が出たとかで、トイレットペーパーが売ってないよ!」というのです。
受験から入学準備などすっかり浮かれていたわたしたちは世の中のニュースなどに疎くなっていましたが、そのころ急速に新型コロナウイルスの蔓延が騒がれはじめ、ちょうどその日に小中学校に臨時休校要請が出されました。
とはいっても、そんな要請になじみがなく、ピンときませんでした。
コロナウイルスという名前は1月ごろからときどき目にしましたが、ときどき話題になる「鳥インフル」レベルの話だと思っていて、わたしたちは受験のときも「インフルエンザの予防」に必死だったくらいです。
だから、突然の事態に大パニック。そして政府の発令を受けて、小学校も3月から休校になりました。
まだ身の回りは何も変わっていないのに、学校が休校になるという未曽有の事態。何が起こったのかわからなかったのは、わたしたちだけではなかったでしょう。
そんなわたしたちをよそに、息子たちは大喜び。「これで学校に行かずにゲームがし放題!」と、すっかりオンラインゲーム仲間になっていた塾の友達と日がな一日オンラインゲーム。
卒業式も控えていたし、まぁいいかなどと軽く考えていましたが、まさかこんなに大変なことになるとは想像もしませんでした。
休校のまま、卒業式も簡易方式で行うことになりました。
保護者の参加はNG。受験も終わったし、好きな着物でも着ていこうかななんて思っていたわたしですが、それどころではありません。
子どもたちは体育館で簡易的な卒業式を行い、保護者は外で待機して写真だけ撮ってくださいとなり、着物を着るには大げさすぎると、少しだけきれい目の服で出かけて記念写真だけ撮って帰ってきました。
なんともあっさりした卒業式でした。
3月の宣言から、その後何か新しいことが動く気配もなく、不要不急の外出は控えるようにというお達しばかりが出る毎日。
息子はインドアで友達とオンラインゲームに興じていたので、ストレスという意味ではストレスフリーでしたが、わたしたち親は「せっかく入学した中学にちゃんと行けるのか?」という心配がよぎり始めました。
そして4月。息子が入学する学校は予定通り入学式を行う予定でした。…前日までは。
タイミングの悪いことに、息子の学校の入学式前日に「緊急事態宣言」が発令。
なんで学校が始まる瞬間にそんなものを出すのか謎でしたが、とにかく発令されてしまった。
このまま知らんふりして強行してくれ!と祈ったのもむなしく、前日の夜遅くに「あしたの入学式は延期します。時期はまた追って連絡します」とのメールが。
息子はまた「ゲームできるからいいや」とあっさりでしたが、あれだけ走りぬいた受験を経て、やっと始まる新たな生活のスタートがこんな形になり、わたしはガッカリしていました。
どこの学校でも未曽有の事態で相当混乱したと思います。
息子は私立の学校に入ったので、手探りながらも4月中にオンライン授業の手筈が整いました。
最初は試験的に、接続テストや課題の配信のみ。リアルタイム授業はありませんでした。
情勢的に、しばらくオンラインが続くであろうと思われたので、我が家は息子用にiPadを購入。
中学入学と同時に始まる英語の遅れも気になったので、3月に小学校が休校になったタイミングで、リアルで対応してくれる個別塾にも入れていましたが、こちらも4月に入りオンライン授業に切り替えたため、タブレットは必要だろうと思ったのです。
そうして、先が見えないまま手探りの毎日を送ること2カ月。ようやく6月に、本当に簡単な形での入学式が行われることになりました。
それでも分散登校でクラスを4分割し、10人ずつの登校、1回1時間程度。夏休みまでに学校に行ったのは、数回だったと思います。
夏休み明けになんとか学校は始まりましたが、それでも突如休校になったりとなかなか安定しません。
手探りのオンライン授業であまり進んでいないと思われる授業でしたが、きっちり中間テストや期末テストは行われ、家庭学習時間がゼロの息子にはなかなかシビアです。
それでも学校があまり好きではない息子は家でゴロゴロできるのが快適だったようで特にストレスも不満もなく、人と会いたいわたしのほうがストレスが溜まっていました。
けれど家が好きな息子はただでさえ学校があまり好きではないので、このスタートで学校というものからさらに距離ができてしまったように感じます。
そんなこんなで、学校見学で魅力に感じた行事もすべて中止、やれても規模縮小と、学園生活はあるような、ないような感じでした。
そして、学校というのはオンラインで授業を提供するだけの機関じゃないというのをヒシヒシと感じました。
授業だけならYouTubeでわかりやすい授業をやっているYouTuberで充分。学校はそれ以外の刺激、たとえば人とのかかわりや行事など、ひとりでは経験できないことを経験する場なんだなと。
そういった行事を経験しているわたしはその機会損失の大きさに気づきますが、本人たちはそれしか知らないので、機会損失したことさえわからず「そんなもん」と受け入れてしまいます。
きっとずっと先にこの世代は「ゆとり世代」みたいなノリで、「コロナ世代」とか言われるんだろうななんて思いながら、世の中の流れでそうなった子たちに勝手にあだ名をつけるってのもひどいもんだな、なんて思ったりしました。
そこから4年。2024年の現在、新型コロナウイルスもインフルエンザと同じ5類になり、やっと日常生活が戻ってきています。
わたしたちのドタバタ中学受験は、終わったと思ったらすぐにコロナ禍に巻き込まれ、なんとなく中学受験から地続きでここまで来てしまった印象です。
それで、中高一貫校に入れた息子はなんとなく高校生をやっています。
中高一貫のメリットとデメリット
「高校受験がまずい」と思って逃げの中学受験をし、中高一貫校に入れましたが、いま感じているメリットデメリットをお伝えして終わろうと思います。
まず、中高一貫のメリットは当然「高校受験がない」ということ。
わたしの住む地域では公立中学からは、公立高校に行くのが一般的とされていて、それを前提として受験が進みます。
高校受験は平常点、つまり内申点が受験に影響し、私立併願に関しては内申のみで内定をもらう方式。
学校の通知表はテストの点数だけではなく、授業を聞いているか、ノートを取っているか、提出物を出しているかなどかなり細かくチェックされるので、うちのようなぼんやり系はかなり苦戦すると思われたので、周りが「高校受験!」と騒いでいるときにのんびりできたのは幸いでした。
3年ごとで生活が変わらないのも、メリットと言えばメリットです。
3年って、長いようであっという間。公立に行った子の話を聞くと、中学1年生から高校受験の話が始まり、高校受験を経てやっと高校に入ったらすぐに大学受験の話…となかなか休まる暇がないそうです。
その点一貫だとゆったりと時間を使えるのかなと思います。
ですが、デメリットはその逆。なかだるみです。
のんびり中高生活を過ごさせたいと思って入れたのに、「のんびりしすぎじゃないのアンタ!?」となります。
だってそもそも勉強しないのが悩みで塾に丸投げし、塾のおかげで家でノー勉で中学に合格してそのままコロナ禍…と、家庭学習の習慣ゼロのまま高校2年に至る。
しかも高校受験という節目がないので、中学の内容もなんとなくぼんやりしたまま高校生になっている…。なんとも表裏一体ですね。
そして、わたしは「息子が高校生になるころにはさすがに勉強をやっているだろう」と希望的観測で大学がついていない学校に入れましたが、これも見誤りました。
いまの状態で大学受験どうすんだこれ!というくらいのんびりと日々が過ぎており、成績は言わずもがな。
母がいくら言ってもきれいにスルーされていて、いまさらながら「なぜわたしはこの子が6年後には本気を出すと思ってしまったのだろう」と自分の脳内のお花畑ぶりを悔やんでいます。
そんな誤算はあれど、本来ならもっともっとハードであったであろう中学受験を、よき出会いでなんとか乗り越え、学校があまり好きでない息子もなんとか通える学校に出会えたことは財産だったと思います。
複数回にわたり我が家の「ちょっと変わった中学受験」をお伝えしてまいりましたが、いかがでしたか?
少子化が爆速で進むなか、首都圏の中学受験は過熱する一方と言います。
振り返って感じるのは、中学受験はやはり「子供の受験」だし、ゴールではないなということ。
それなりに合格をいただいた息子も、受かって安泰かと言えば、やっぱりいまの息子に手を焼いているし、憧れの学校に入ったものの、合わずに辞めてしまう子もいる。
学校がすべてを解決してくれるわけではないんだな、というのが当たり前ですが学びです。
それでも同じ道を歩んだ人しかわからない中学受験の世界、わたしはかなりラクをしたほうだとは思いますが、それでも少しだけ覗いた世界だけに、これから中学受験に挑む人たちにエールを送らずにはいられません。
つたないわたしの体験談にお付き合いいただき、ありがとうございました!
まだまだ手のかかる息子に頭を抱える毎日ですが、同じような悩みを抱える全国のママたちは、目に見えないけど戦友。
毎日子どもと向き合って頑張っているわたしたち、そして子どもたちに幸あれ!
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