20歳年上の夫と高1マイペース息子を持つアラフィフ主婦ライター、塩辛いか乃です。
家でまったく勉強しない、勉強嫌いの息子を中学受験させようと一念発起し、息子に合う場所を探し回って出会った運命の塾。
家で勉強しなくても、とにかく通えばOKと言われて週3回通った小学5年生が過ぎ、2月。
春からは新6年生、いよいよ受験学年のスタートです。
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毎日19時半まで勉強。大丈夫!?
息子がお世話になっている塾は、いわゆる「丸投げ塾」。親はノータッチで、すべて塾が勉強を見てくれるという塾です。
小学5年生までは本当にゆるゆる。「小学6年生は本気で缶詰めになりますのでご覚悟を」と言われていました。
小学6年生の最初のころは週4日で19時半終わり、そのうちお弁当持ちで週4日21時までに…そしてそれが週5日、最後は毎日になると言われて背筋が寒くなりました。
ただでさえ勉強嫌いな息子なのに、小学校に行きながら、毎日21時までの塾通いなんて…と。
けれど実際に始まってみると、意外と楽しそうに通っています。小学5年生のころは週3日、3時間だけ授業を聞いて帰り、晩ごはんは家で食べていましたが、小学6年生になると「塾弁」持ち。
授業が終わって休み時間に塾でみんなでお弁当を食べることが増えて、クラスの子とどんどんなかよくなったようなのです。
もともと学校のようなお仕着せのカリキュラムをこなすのが好きではない息子。学校の勉強は乗り気にならなかったので、それに加えて塾なんて大丈夫なのかと思っていました。
ですがそこはさすが塾、サービス業です。特に6年生の担任の先生は、子どもの性格を見抜いてその子ごとに対応を変えて接してくれていました。
叱って燃える子と、叱ったら委縮してしまう子。勝ち気なことマイペースな子。子どもによっていろんな子がいるから、一律の接し方では対応できません。
特に息子の塾は少人数で、1クラス10人未満だったので先生の目が届き、よりきめ細やかに見てもらえたのもラッキーでした。
といってもその少人数の理由は、能力別のクラス編成で一番したのクラスだったので、けっこうな人数がうえのクラスにあがってしまった結果なのですが(笑)。
能力別のクラスも、実は抵抗がありました。能力別クラス分けを設けている塾では、ときにうえのクラスの子がしたのクラスの子をバカにする、などと耳にしていたからです。
けれど息子の塾の塾長は「そんなことをしたらめちゃくちゃに叱ります。絶対させません」と断言したので信じることにしました。
実際はバカにされるも何も、うえのクラスの子の意識が高すぎ、うちのクラスの子の意識が低すぎ、同じ学年でもまったく別の生き物だったので接点がなかっただけですが(笑)、わたしが心配していたようなことはなかったのでよかったです。
「楽しい場所かどうか」が重要
中学受験の弊害は、あちこちで聞かれます。
まだ遊びたい盛りの小学生の子どもにハードな勉強をさせるため、家庭学習で親子関係がボロボロになるとか、子どもが勉強しすぎで燃え尽きるとか…怖い話がたくさん飛び交うので、たとえ丸投げとはいえ、わが子がやり切れるか不安でした。
ですがわたしの不安とは裏腹に、どんどん楽しそうに塾に通う息子の姿がありました。
うちからは少し遠い塾だったので、息子の小学校から通っている子どもはおらず、全員が違う小学校から来ている子たち。
幸いなことにクラス内でも同じ小学校の子がほとんど重ならず、みんながいい感じにバラバラだったので、よりなかよくなりやすかったようです。
そのうち、塾に21時に迎えに行くと、ギャーギャーと騒ぎながら息子たちが楽しそうに塾の階段を駆け下りて帰ってくるようになりました。
お迎えの車に乗る前に「じゃあ30分後ね!」という声が。何事かと思えば、なんと塾の仲間とオンラインでゲームする約束をしたとのこと。
なんと、これが新世代の遊び方「エア待ち合わせ」です。
初めてゲームの約束をして帰ってきたときは、「時速100キロで帰って!」と興奮しながら言っていました。
いままで放課後に友達とリアルでしか遊べなかったのに、夜にオンラインゲームができるだなんて、すごくワクワクしますよね。
受験生なのにゲームだなんてという気もしましたが、そもそも家で勉強ができないから中学受験を選び、この丸投げ塾を選んだわけで。
そんな息子が、ほぼ毎日塾通いで1日5時間も勉強をし、ゲームをする暇もないのは不憫だなと。それに、塾の友達となかよくなることで塾通いが楽しくなるなら、それは逆にメリットだとも思いました。
だんだん塾の後のゲームが慣例になり、塾の友達と接する機会が増えれば増えるほど塾が楽しくなっていくように見えました。
さらに今度は、土曜日の午後から始まる授業の前に「きょうは早めに塾に行く」と言い出して。
1分でも塾にいたくなかった息子が、早めに行くとは何事かと聞くと、塾の友達と一緒にマックでお昼ご飯を食べてから塾に行くことにしたのだとか。
うちの近所は住宅街で何もないのですが、塾の周辺はゲームセンターなどもあり、誘惑もたくさん。塾の近くに住む子たちに周辺の遊び場所まで案内してもらい、さらに塾に行くことが楽しみになってしまったようです。
完全に動機が不純ですが、塾に行けば缶詰で勉強することになるので、行ってくれることがまず第一。
最初に塾を訪れたときに塾長が言った「子どもにとって塾が楽しい場所なら喜んで来ます」という言葉は本当だなと思いました。
まだ小学生の子ども、特に勉強が好きではない息子にとっては、やっていることが勉強かどうかはどうでもよくて、そこが楽しい場所かどうかが重要なのだと改めて感じました。
そして、楽しいと思える仲間といられることがとても幸運だなと思いました。