楽しく通えそうな学校選び
とはいえ受験学年。楽しく通ってくれている息子にホッとしつつ、受験校も選んでいかなくてはいけません。
もともと高望みをしているわけではなく、のんびりマイペースな息子が楽しく過ごせるように「できるだけ勉強にうるさくない学校」を探していました。
ただでさえ学校が好きではない息子は、勉強にうるさく言われたら絶対に学校に行かなくなると思ったからです。
とにかくできるだけ雰囲気がよさそうなところを選ぶべく、通える範囲のたくさんの学校に足を運びました。
私立中学は、義務教育の公立中学とは違い「ウリ」が必要です。
生徒が集まらなければ成立しないので、学校説明会などで魅力を伝えるのですが、やはりほとんどが「進学実績」をメインにした説明でした。
わたしだってそりゃあ進学実績がいいほうがいいけれど、息子はそれ以前の問題で「楽しく行けそうな学校選び」をしなくちゃいけない。
欲を抑えて現実的な学校を探そうとあれこれ見ているうちに、ひとつとても雰囲気のいい学校に出会いました。
他校のほとんどが「次世代のグローバルリーダーズを育てます」というようなアプローチだったのに対し、その学校のモットーは「誰も置き去りにしない」でした。
そもそもリーダーなんて世の中にたくさん必要ありません。みんながみんなリーダーなんて取っ散らかってしまいますよね。
息子は特に人の前に立つのが好きではなく、おっとりした子。「いろんな子がいてもいい」そう言ってくれるだけでなんだか救われたような気がしました。
なんとなく「ここがいいな」と思い、塾の先生に相談してみると、この塾からも毎年数名進学しているしノウハウもあるそう。
まだこれからの成績なので何とも言えないけど、まぁ妥当な志望校ではないかと言われました。
とりあえずここを視野に入れ、ほかにお守り校も探しつつで進めていくことになりました。
塾からは、「お母さんは勉強しなさいと言う必要はありません。毎日塾弁づくりと送迎だけ頑張ってください」と言われていましたが、5月を過ぎたあたりからは塾が週5回になり、本当に塾弁と送迎にかかりきりの生活です。
そうこうするうちに夏休み。夏期講習はなんと8時から21時まで。本当に缶詰です。そんなに長時間、わたしだって勉強したことがありません。
けれど息子は友達と過ごす時間が長くなり、嫌がるどころか楽しそうに塾に通っていました。
缶詰めで毎日勉強するので、当然成績もあがってきます。勉強なんて1ミリも興味がなかったのに、徐々に「きょうはAくんに算数で勝った」とか「Bくんには負けた」とか話すようになりました。本当に環境で変わるものだなぁとビックリ。
6年生に入ると、模試も受け始めます。朝早く友達と駅で待ち合わせて行くというので駅まで見送りに行き、同じクラスのママさんたちと顔合わせでご挨拶。
なかよくしている話はお互いに聞いていたので、すぐに意気投合し、お茶しましょうという話になりました。
そしてお茶のはずが、なぜか飲み会しましょうという話に発展し、不謹慎なことに子どもたちが朝から晩まで塾に行っている間に「昼飲み」を開催。
「類は友を呼ぶ」とはよく言ったもので、見事にお勉強嫌いな同士な息子たちがなかよくなったため、その親たちも同類と判明(笑)。
家で勉強しているのを見たことがないというツワモノ揃いで、うちの息子はあまりに勉強しなさ過ぎてヤバイんじゃないかと不安だったわたしは、やっとここで同類に出会えた…と感激さえしました。
ほら、勉強の探り合いって結構あって「うちは全然勉強させてないのよー」とか言う人ほどめちゃくちゃ勉強させて、ものすごいいい学校に行ったりするじゃないですか。
ですがそもそもこの塾、クラス内で成績もバレバレ。小テストで0点を取ったら教室でバラされ、子どもたちは子どもたちで幼いので、お互いの成績も隠さない。なぜか隣の席の子の小テストも間違えて持ち帰ってしまうようなゆるさなので、探り合う必要もないのです。
足の引っ張り合いとか、勉強のしがらみで困ることが一切なく、成績も塾にお任せ。親子とも、志望校もすべてオープンに話をしていたのでなんとも気楽でした。
ですがこの話をすると、中学受験経験者のママさんたちは口をそろえて「そんなの信じられない」というので、よほど特殊な環境だったのだろうなと思います。
まぁ、中学受験自体が「高みを目指す」受験であることがほとんどなので、私たちのような保護者自体が少ないのだとは思いますが…。
そうはいってもやはり忙しい毎日、疲れが見える子どもを休ませたり、学校行事と塾の兼ね合いでバタバタとした毎日が過ぎて行きました。
気がつけばもう秋。2月の受験本番に向け、いよいよ本格的に志望校を決める時期がやってきました。
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