神戸メンタルサービスの平です。ヴィジョン心理学創始者のチャック・スペザーノ博士に師事。プロセスを重視した本格的なグループ・セラピーを開講し、20年以上セラピストとして働いてきました。
多くの恋愛相談をお受けするなかで、前々から思っていることのひとつが、「日本人の最大の敵は、恥ずかしさ」だということです。
日本人はコミュニケーション下手だと言われることがありますが、その最大の要因もこの恥ずかしさだと思っています。
日本には、古くから自分を表現するという文化があまりありませんでした。そのため、自分の気持ちをありのままに表現することは恥ずかしく、むしろ、隠すことに慣れ親しんでいる人のほうが多いわけです。
その一方で、女性の多くはこんな不満をもっています。
「なんでわかってくれないの。愛しているなら、わかるはずでしょ!」
そんな女性に、男性はこんな不満をもっています。
「言ってくれなければ、わからねぇよ。なんで言わないで、いきなり怒るんだよ!」
これは、昔もいまも変わらない日本人の典型的なパターンです。
では、なぜ、女性陣にとってはわかってもらう必要があるのかといえば、「○○してほしいなんて、そんなこと、言えないじゃない!」というのがあるわけです。
大好きな人に、「今度遊びにいきましょう」などと言える人は、もちろん存在しています。
が、残念ながら、自分の思いをそのまま表現したり、好きなものを好きと言うのにはそれなりの抵抗をもっている人たちもいらっしゃいますよね。
では、そのような恥ずかしがりな人は、どうしたらいいのでしょうか?
なぜ恥ずかしがりになってしまったのか?
この問題を解決するには、「そもそも、なぜ、こんな恥ずかしがりになってしまったのか」というところからお話ししなければなりません。
アメリカ映画などを観ていると、パパやママの誕生日に子どもたちが電話をかけて、「ママの子どもに生まれて、僕はほんとに幸せだ。ママ、いつも愛してるよ」などとペラペラと愛情表現するシーンがしばしば出てきますよね。
一方、日本人の多くは、同じことをしようと思ったら、ものすごく抵抗を感じるものです。
幼いころは両親に対してあたりまえに愛情表現していたのに、思春期のころからなぜかものすごい恥ずかしさを感じるようになりますよね。
実はこの恥ずかしさを越えて、両親にふたたび愛情表現ができるようになると、男女関係における恥ずかしさも激減します。
ちょっとしたプレゼントを贈るだけでもよいので、ぜひ、チャレンジしてみてください。
心理的に見ると、かつて、私たちは大好きであった両親に対して、「愛してくれるのは両親の役目で、私は愛してもらうほう」という依存的な考え方や態度をしてきました。
その考え方がそのまま男女関係に反映されると、同じように受身の恋しかできなくなり、自分の思いを表現することもなかなかうまくできるようになりません。
その結果、両親も彼もわかってくれない、してほしいことをしてくれないと、カンシャクを起こしてばかりいることになるわけです。
次は、大人になったあなたが両親を承認してあげる番です。
親だって人間ですから、完ぺきなんてことはありませんし、まったく毒をもたない親というのも存在しません。
そんな彼らでも認めてあげることができたなら、あなたの男女関係のコミュニケーションも劇的に改善します。
私たちはどうしても依存心を消し去ることができず、「自分は親から十二分に愛されていない。そのぶん、男女関係で愛されるべき」などと考えがち。
すると、言わなくてもなにかと察してくれた両親のように、パートナーもあなたを理解するものだと思い込み、えらそうで悪い態度をとってしまいがちです。すると、当然ながら、男女関係はうまくいかないわけですね。
まずは、あなたのことをいちばん近くで見守り、面倒を見てくれた人を承認しましょう。それができれば、すべての愛の扉が開くようですよ。
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