改めて知った「無断駐車」の現実
「これでお隣さんとはもういい関係ではいられないな、と落胆しました」と話す真奈美さんでしたが、夫のほうは「大事なことだし、冗談でその場をごまかして今後も使おうとしている気がしたし、あれで正解だよ」と、真奈美さんの言葉を肯定してくれたそうです。
ところが、この言い渡しの後からも同じクルマが真奈美さん宅の借りている駐車場に停まっていることがあり、今度は管理会社に報告することを思いつきました。
「もう一度お隣さんに言いに行ったのですが、そのときは出てこずにその後も何度か訪ねたけど誰も出てきませんでした。これは居留守を使われているなと思い、思い切って管理会社の人に入ってもらうことを決めた次第です」
このマンションを購入した決め手に管理会社がしっかり機能している点もあったと話す真奈美さんは、常駐している管理人さんに電話して時間を作ってもらい、無断駐車の状態について伝えます。
「夫から『証拠になるから写真を撮っておいて』と言われていて、自分が無断駐車に気がついた3回分ほどはスマホで撮りました。1枚だけ、ギリギリだけどお隣さんとわかるものもあって、これで十分だろうと思ったのですが…」
事態は、真奈美さんが思っているよりもっと悪い方向に発展します。
現像した写真を見た管理人さんは、「またこのクルマか」と驚いたそうです。
管理人さんが言うには、このナンバーのクルマは以前も別の住人の駐車場に黙って停めることを繰り返していたとのこと。真奈美さんのお隣さんが同乗していることも把握していたため、注意に行き、無断駐車は終わった経緯がありました。
真奈美さんが気になったのは、別の住人が注意した際、お隣さんは「緊急事態だった」とか「私の体調が悪くて仕方なく送ってもらった」とか、言い訳ばかりしていたというところ。
そういえば自分たちが言いに行ったときも謝罪はなく、「ケチね」と言われたことから、「これはちょっと問題ありの人かも」と、頭を抱えたそうです。
正しく「対処」する意味
真奈美さんから写真を預かった管理人さんは、相手が隣の住人であることを考えて「注意に行くのは私だけのほうがいいでしょう」と言ってくれたそうです。
後日、真奈美さんは管理人から報告をもらいました。
「さすがに管理人の訪問は無視できなかったのか、奥さんは対応に出てきたそうです。写真を見せながら『無断駐車はやめること』『次もやったら大家に話して相応の対処をする』と話したら、黙って聞いていたって。話し合いができないことは管理人さんもわかっていたのでそれで帰ろうとしたら、『うちは部屋で占いをやっていて、その顧客だから』と言い出したそうです」
それならなおさらお客さん用の駐車場を借りるのが当然では、と返す管理人さんに向かって、「空いているのになぜ停めたらいけないのか」と食ってかかったという奥さん。
「怖いですよね。そのときもうちへの謝罪はなかったそうですが、人がお金を払って借りている場所を勝手に使ってもいいと考えるのが異常だなと思いました」
この態度を見て、管理人さんは大家である会社に報告、マンションの共有スペースに「無断駐車禁止」の貼り紙をしたそうです。
「こういう貼り紙って、住人に治安の悪さを感じさせるから会社としては本当はしたくないですよね。でも、自分のしていることが悪いと思っていない人がいる以上は、強気な対応に出ないといけないのだなと感じました」
そう話す真奈美さんは、貼り紙のなかに「無断駐車を見つけたらすぐに連絡を」と書かれていることが、会社は大きな問題と受け止めていると感じたそうです。
これ以降、真奈美さんの家族は隣の奥さんと会っても会釈もしない冷めた関係となりましたが、「常識のない人間とは距離を取るのが一番だと夫と話しています」と、かえって割り切った気持ちで生活を続けています。
トラブルに正しく「対処」する意味は、まず自分たちの生活を守ること、安全のために筋を通したやり方が正解であることを、改めて感じています。
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