緊急帝王切開に切り替え
急展開でいきなりわたしの周りがあわただしくなっていましたが、わたしは「この痛みを早くなんとかしてくれ!」ということで頭がいっぱい。
帝王切開と決まれば、一刻も早くこの促進剤を抜いてほしい。看護師さんに「早くこれ抜いてください!もう必要ないですよね!」と叫んで抜いてもらい、やっと一息。
その間に付き添っていた夫は同意書にサイン。感じの悪いお医者さまは、相変わらずのゆるいテンションで「えっとーこれは、もし大出血して死んじゃいそうになったら輸血するかもだから、その同意書でー」と夫に説明していて、「死んじゃいそうになったら」とか本人の前で言うんじゃねぇよ!とぜーぜーしながら思っていました。
そのうちあれよあれよという間に、わたしは着々と手際よく手術着に着替えさせられ、下着も取られ、ストレッチャーに乗せられまさに「まな板の上の鯉」となっていました。
破水してからいままでの時間が長すぎたので、手術の恐怖もあれど、やっとゆっくりできるという気持ちも。
なんだかよくわからない間に手術室に運ばれ、なんか夫が「頑張れよ」的なことを言っていたと思いますが、わたしは「やっと大変なことから解放される」と思って手術室に運ばれていました。
人生で初めて入った手術室は、ドラマで見たまんま。珍しいものが好きなわたしはあちこち見渡しキョロキョロしていました。
名前の確認などをされながら、下半身麻酔もされます。「そういえば帝王切開って下半身麻酔痛いんだったわ」と麻酔医の先生に、「下半身麻酔怖いです」と言ったら、「うーん、まぁちょっと痛いけどすぐ効きますから」と言ってくれました。
腰を丸めて脊椎の間に麻酔注射。かなり痛いと予想していましたが、思ったより痛くなくて安心。
注射後は、麻酔が効いているかチェックされました。足を触られている感覚があり、「これわかりますか?」と聞かれました。
麻酔が効いていないのに切られてはたまらん!と、「触られているのがわかるんで、麻酔効いてないかもです!」と言ったら、「大丈夫、効いてますね」と言われました。
その後いよいよ手術部位にドラマで見たテントのようなものを建てて手術開始。下半身麻酔なので全部聞こえてしまうので「はい、執刀します」とか聞こえちゃいます。
切られる瞬間まではドキドキしていましたが、どうやら切られたかなと思った時も痛くなくて安心。ただ、なんか内臓を触られている感はあってちょっと気持ち悪かったです。
そしてあっという間に「はい、赤ちゃん出します!」みたいな掛け声がかかり、なにかうえからめちゃくちゃ押されているような感触がありました。
「なんだこれは!?」と動揺しているうちに、わたしのなかの赤ちゃんは取り出され、「無事生まれましたよ!」と言われました。
赤ちゃんは洗ってから見せに来てくれたのですが、なんと手術中はメガネ禁止。ド近眼のわたしは全く見えないまま「ああ、どうも」と言って終了。
そしてわたしには見えませんが、赤ちゃんを見せられているわたしはいま、めちゃくちゃお腹が切られて開けっ放しになっているのだろうなと思うと、ものすごくシュールな絵だなとか余計なことを考えていました。
無事赤ちゃんが取り出せたと思ったら気が抜けたのか、ちょっとうとうとしているうちに手術終了。
またストレッチャーで運ばれ、夫の顔が見えましたが、疲れてあまり覚えていません。
その後病室に運ばれたわたしですが、とにかく自分のなかにどんな生き物が入っていたのか見たくて、「赤ちゃんを見せてほしい!」と騒ぎました。
ですが、ある程度わたしの処置が終わってからでないとダメらしく、痛み止めの点滴を入れられてそのうち寝落ち。
起きたら術後のせいで高熱が出ているようで、なんとも意識がもうろうとしていました。熱は40度くらいあったかと思います。
夫はわたしが目覚めたのを知って、新生児室の息子を写真で撮ってきて見せてくれました。
が、昔のカメラってプレビュー画面が小さくてよく見えないので、いちおう人間、というくらいしかわかりませんでした。
生まれたてのホヤホヤが見たかったけれど、帝王切開なのでそこは叶わずだったのは残念でした。
が、術後の興奮で眠れず、当時はまだガラケーでしたが、友人に片っ端から「いま帝王切開で生まれたよ!」と連絡しまくっていました。