こんにちは、椎名トキです。僕は身体の性は女性ですが、心の性は定めていないセクシャルマイノリティ。女性のパートナーとは一緒に暮らしはじめてから今年で6年。セクシャルマイノリティカップルの暮らしと言っても、実際は異性カップルの同棲となんら変わりません。
しかし同棲のための部屋探しについては、異性カップルと大きく異なってしまうことがありました。きょうはそんなセクシャルマイノリティカップルの部屋探しについてお話します。
彼女との部屋探し
大手賃貸情報サイトには「セクマイカップル(セクシュアルマイノリティ同士のカップル)」も入居可能な、LGBTフレンドリーな物件を集めたページを設けているところがあります。
しかし僕たちが同棲をはじめる当時は、いまほどLGBTフレンドリーを掲げた物件はなかったので、LGBTフレンドリーを掲げていない不動産会社で部屋を探していました。
セクマイカップルの部屋探しは、オーナーさんや大家さんに断られてしまうことがあるとよく耳にします。オーナーさんや大家さんにLGBTに対する理解がなかったり、あったとしても同じマンションやアパートに入居しているほかの住人を気にして断ってしまう、ということがあるようです。
部屋探しをはじめる前にセクマイカップルの部屋探しについて調べてみると、実際に入居を断られてしまったり、不動産会社の理解のない対応をされたという声が散見されました。
入居を断られるのは悲しいし、そもそもで部屋が見つからなければ同棲生活をスタートすることができません。そこで僕たちは友だち同士のルームシェアだと、ふたりの関係性を隠すことにました。
部屋探しをしたのは2015年の夏。当時、ルームシェアやシェアハウスが新しい暮らし方としてよくメディアで取り上げられていたので、その流行りに身を隠そうと考えたのです。
部屋探しをはじめると、間取りがある程度広くてもすべての物件でルームシェアができるわけではないということを知りました。異性カップルであれば、ルームシェア可ではない、夫婦や家族向けの「二人入居可」の物件を選べる場合があるそうです。
間取りや立地など、どんなに自分たちにとって条件がよい物件でも、ルームシェア可ではない物件には入居することができません。当然、異性カップルが部屋探しをした際よりも物件の選択肢はぐんと減ってしまいます。
僕たちのような身体が女性であるセクマイカップルはルームシェアで入居が可能の場合でも、身体が男性同士のルームシェアは断られてしまうこともあるそうです(部屋の扱い方や騒音を懸念する場合があるのだとか…)。実際僕たちも入居の際に「女性同士のルームシェアなら、部屋の扱いも問題ないですね」と言われたので、実際ある話なのでしょう。
セクマイカップルであることを隠さないと断られてしまうかもしれないし、隠しても選択肢が減るもしくはルームシェアでさえ入居ができない。異性カップルではないというだけで、本来楽しいはずの同棲開始のための部屋探しに不安や困難が立ちはだかることが、僕は悔しく思います。
「うちにはないから!」
幸いにも僕たちは仲のよい友人同士でのルームシェアとして入居することが叶い、同棲生活をスタートすることができました。管理会社などに関係を誤魔化したままでも、彼女との暮らし自体はとても幸せなものです。
同棲を始めて数年立つと思い出と一緒に持ち物も増えてきて、手狭さを感じるようになりました。ちょうど更新のタイミングでもあったので、転居を考えて2度目の部屋探しをすることに。このときも僕たちは前回の部屋探し同様に、ルームシェアとして部屋探しをしようとしていました。
希望の最寄り駅の近くでいくつか不動産会社にも聞いてみようと、ある地元密着タイプの不動産会社の店舗をのぞいてみました。至って普通にドアを開けると、男性の社員らしき人がちらっとこちらを見ました。
僕がルームシェアできる部屋を探していることを伝えると、男性社員は「そういう部屋うちにはないから!」とこちらも見ずに一蹴しました。
あまりの言い方にムッとしましたが、無理にここで探すこともないなと思い(現に物件はないと言っているし)、カウンターに通されることもなく店をあとにしました。
地元密着タイプの不動産会社でも、親切で親身な対応をしてくださるところももちろんあります。たまたまその店舗に足を運んでしまった、僕たちの運が悪かったのかもしれません。セクマイカップルであることを隠したとしてもこんな言われ方をされるのかとショックで、結局このときは部屋探し自体を断念してしまいました。