クィアマガジン「purple millennium」を運営し、LGBTQ当事者としての経験や考えを発信しているHonoka Yamasakiです。
2021年12月、東京都が2022年度中に「同性パートナーシップ制度」を導入する意向について発表したニュースが話題になりました。
同性パートナーシップ制度は、2015年に渋谷区と世田谷区で日本ではじめて認められてから、よく言葉を耳にするようになったように感じます。
とはいえ、制度の内容や同性婚との違いはイマイチわからない人もいるでしょう。同性パートナーシップの導入に先駆けて、制度について一緒に学んでいきましょう。
同性パートナーシップ導入へ
冒頭でもお話しした通り、東京都の小池百合子知事が、同性カップルの関係を夫婦同様にみなす「同性パートナーシップ制度」を2022年度中に導入することを示し、話題となりました。
本制度を検討すると発表してから、約半年。ヒアリングや調査を行い、2021年10月の都民に向けたオンライン調査では、制度の導入を求める回答者は7割にものぼったとのことです。
導入に関する具体的な時期を示したのははじめてであり、今後はより詳細に導入に向けたサービスについて検討するといいます。
同性カップルは、公営住宅や医療などの都民サービスなど、法的に認められた夫婦と同様に利用することができませんが、パートナーシップ制度が導入されることで、今後実現されることが期待されています。
同性パートナーシップ制度でできること
同性パートナーシップ制度は結婚とは異なり法的効力がありませんが、制度を活用することで享受できる権利が複数あります。以下6つをご参照ください。
1.病院での付き添いや面会が受けられやすい
実はいまだに、同性パートナーは家族ではないために面会を拒否されたというケースが起こっています。
基本的に面会は患者本人の承諾を得ることとなりますが、緊急時に患者本人の承諾が得られにくいことも…。その場合、パートナーシップ制度により、パートナーが代わりに手術の同意を病院に求めることができます。
2.生命保険の受取人を指定できる
2015年の制度導入から、さまざまな生命保険会社が同性パートナーを指定できるように改めました。
ですが、保険会社の契約によってはパートナーシップ証明書を必要としない場合もあります。事前に確認するようにしましょう。
3.賃貸の契約時に理解を得られやすい
同性カップルで住まい探しをする際、パートナーとして住宅を借りにくい懸念点が存在します。
賃貸契約は、大家さんや管理会社の最終判断により締結されるため、LGBTQに関して認知が不十分な人からお断りされることもまれではありません。
さらに、同性婚が認められていないために、カップル関係をすぐに解消となれば家賃の支払いに支障をきたしてしまうとの理由により、契約しない大家さんや管理会社もあります。
そのため、同性カップルが賃貸住宅を借りる場合には、ルームシェア扱いとなることがほとんど。ですが、同性パートナーシップ制度が導入されたことにより、LGBTQフレンドリーを謳った不動産会社や不動産業界のあり方を見直す動きも徐々にみられてきています。
4.会社で福利厚生が受けられる
さまざまな会社で、パートナーをもつLGBTQ当事者を配偶者と同様に扱う取り組みがなされています。
住宅手当の補助や家族の看護休暇、慶弔休暇など、福利厚生を認めるそうです。
5.クレジットカードの家族カードを作成できる
パートナーシップ証明を提出すると、クレジットカードの家族カード作成ができるようになりました。
いまでは、証明書の提出を必要としない会社も増え、生計を共にしている照明さえあれば有効となるケースもあります。
同様に、動画配信サービスや携帯電話のプランにも、LGBTQカップルも対象となることが増えました。
6.公営住宅に家族として入居できる
公営住宅に入居したい場合、同性パートナーシップ制度を活用すれば、法律上の家族と同様に扱う自治体も増加中。また、住宅ローンもペアローンとして組むことができます。
上でご紹介したように、同性パートナーシップ制度を活用することで、社会的に得られる権利の幅が広がります。
制度がなかったころと比べるといい方向には向かっているものの、法的効力はありません。つまり、法律上では配偶者として認められないのです。本制度導入に関する、さまざまな当事者の声を聞いてみましょう。