今年7月にあった都知事選は、いろんな意味で前代未聞でしたね。
わたしは東京住まいではありませんが、やはり都知事選の話題は毎日のように報道されるので気になってはいました。
残念なことに気になるのが政策ではなく、お祭りさわぎのような様相を呈していたこと。
もはや政治なのか遊びなのかわからないようなポスター合戦と、当選する気がさらさらなさそうな候補者が何十人も。
なんとなく現職当選がわかったうえで遊んじゃえ、な感じがしなくもなかったですね。
なかでも話題になったのが「ほぼ真っ裸の女性ポスター」が堂々と貼られていたこと。
SNSでも騒がれていましたが、わたしもあれを見た瞬間に思ったのは「日本、もはやここまできたか」でした。
しかもあれって女性が候補じゃなく、別の方のポスターだったんですね。
ったくわかりにくいっていうか、都知事選のポスターの目的って候補者を認識するためのものなんだから「表現の自由」は不要。免許証みたいにフォーマットにすればいいのに。
それはいいとして、子を持つ親としては、あれだけたくさんの場所にデカデカと裸の女性ポスターを貼られることにも抵抗を感じるわけです。
息子はもう高2であれこれ情報としてはわかっているし、「エロ広告ウザイ」とか言っている年齢なのでもういいのですが、小さい子どもがいる人はあんなものが通学路に貼られてさぞかし迷惑でしょうと思います。
コンビニの雑誌コーナーも、Web広告も
しかも、裸と言ってもとにかく下品。同じ裸でも何が上品で何が下品か境目を言語化することはできませんが、わざと局部を見せるようなポージングやケバケバしいメイクはやっぱり「芸術性」ではなく「性欲に訴える下品さ」がある。
ルネサンス期に描かれた裸婦、あんな格好してないでしょ?ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」と比べてみてください。その違いは言わずもがな。
あれ貼って「表現の自由」と開き直るのはどうかと思います。
そうはいっても、貼られてしまったポスター。テレビでもさんざん報道されていましたし、都内の小学生男子たちは「見た、あのでっかいおっぱい!」とか言って騒いでいるでしょうし、先生たちも対処に困ったでしょう。
歓楽街のように大人しか立ち入らないであろうエリアではない場所に、下品なポスターを貼るのは本当にやめていただきたい。
それを言ったら、水着グラビアがでかでかと載っている表紙のもの置かれている雑誌もコンビニに堂々と置かれていて、あれもどうかと思いますよね。
「見ちゃダメ!」というと見たくなるのが人の常。
なのでわたしは何も言わずにそのままスルーして、幸いにも息子は特に食いつくこともなくいままで来ましたが、コロコロコミックとか子どもが読む雑誌の近くにもフツーに置いてあるんですよ。
好奇心旺盛な子なら「ママ、あの人裸だよ!なんでなんで?」とか言っちゃいそう。
最近は、やたらめったらスマホにエロ広告が出てくるのも迷惑。エロサイトを見なくたって当たり前にエロ広告が出てきます。
しかもGIF動画でしつこく男女が描かれているものが、記事のうえにババーンと。
子どもがスマホを持つ年齢もどんどん下がっているし、フィルターだってあまり意味がないんです。
息子は小5でスマホデビューし、最初はドコモのフィルタリングブラウザを使わせていましたが、YouTubeを見るにはGoogleのアカウントが必要になったり、流行っている動画がフィルターかかって見られないなんて話もヤイヤイ言われ、徐々に不便が出てきてズルズルと普通のブラウザに移行。
わたしに出ているのと同じようにエロ広告が出てるんだろうなと思うと、「げー」と思います。
子どもが不可避的にエロの世界に触れてしまう現状
あるとき、息子に「あの死ぬほど出てくるエロ広告うざくない?」と聞いたら、「めちゃウザイ」と答えました。
「興味ないの?」と聞くと、「違うもん見てるときにエロいもん見たくない」とあっさり。そりゃそうか。
そうやって子どもが不可避的にエロの世界に触れてしまうことについて、どう対処するかは割と難しい問題ですよね。
性教育みたいなものを改めてするのもなんか違うし、かといって男子の友達情報に任せるのもなぁと。
あれこれ考えたわたしは、小さいころからできるだけ過剰反応しないように、ざっくばらんに接してきました。
エロいものはそこにあっても「ああ、あるね」という感じで反応しない。親が「まぁ大変!見ちゃだめよ」と言ったら見たくなるじゃないですか。
少し大きくなってきて、性について話すことがあっても、できるだけざっくばらんに話すようにしていました。
オラオラ系の姉みたいなものを降臨させて「え、子どもってどうやってできるか、さすがに知ってる年齢?」とか聞くと、「そりゃ知ってるよ…」と答える。そういうところはウブで素直すぎる息子。
そして男子の母となった以上、年頃の息子に絶対に伝えておきたいことは「有事の際には避妊しろ」だけなので、それは折に触れてしつこく言っています。
たぶん男女ともに、若かりしころの予期せぬ妊娠ほど大変なことはないかなと思います。
周りにも結構たくさん実例があって、なかなかうまくいっている例は少ないので、これだけはしっかり教育しておきたいという使命を感じていました。
なので、何かにつけて「女性の甘い言葉に気をつけろ」と伝えています。
「きょうは大丈夫とか言ったらそれは罠だ」とか「目先の快楽に溺れるな」など、なにか教訓のようなものを植え付けている意識で。
ただ残念ながら息子、そんな心配がいまのところ悲しいほどなく、「俺は結婚もしないし一生彼女もできないから心配ない」と胸を張って言っています。それはそれで複雑な親心。
あとは女性の扱い。エロ動画は妄想の世界とはいえ、女性をひどく扱うことを当然のように撮影したものがあふれています(最近は逆も結構あったりしますが…)。
そういうものを見すぎると「これをすると女性は喜ぶ」と勘違いしてしまうと聞いたことがあるので、これも息子に伝えました。
「もしエロ動画を見ることがあったら、あれは現実世界ではなく男性の願望を映像にしたものだから、リアル女性に同じことしたら絶対だめだからね」と言うと、「知ってる!リアル女性とすることないから大丈夫!」という返事が。だから、それはそれで複雑なんだってば。
子どもを育ててみて思いますが、やっぱり大人の世界がまったくわからない時期に毒々しいものを見せるのはよくないなと思います。まだ善悪の区別がついてない時期に見せるもんじゃないですね。
ある程度、世の中には光と影がある。みたいな概念がわかる時期を過ぎてからじゃないかと。なので、18禁というのは理にかなっているのかなと思います。
いくら子どもをポルノやエロから離したいと思っても、こうやって晒されているのが現実。
すべてをシャットアウトできなくても、やたらめったら乱発するエロ広告とかは規制対象にしてもいいのではないでしょうか。
なんというかやっぱりエロとかポルノの世界って、影のものというか「秘め事」的なゾーンにあるべきものだと思うんですよね。
昔レンタルビデオショップでのれんがかかったアダルトゾーンってあったじゃないですか?私は子どものころ、あののれんが気になって仕方なく、興味津々でうっかり覗いてしまったことがあります。
すると壁一面にものすごい数の裸!誰も何も教えてくれなかったけれど、その空間が「大人の世界」と瞬時に悟った記憶があります。
危険なエリアや風俗街なども、なんとなく区画として存在して、そこに足を踏み入れるとガラっと雰囲気が変わる。そういう区切りがあることで、なんとなく察するってあると思うんですよね。
だからやっぱり、今回のように都知事選のポスター掲示板に白昼堂々と「秘め事的」なポスターを貼っちゃいかん。
「子どものためにも、世の中の秩序のためにも、棲み分けをしましょうぜ」と思うきょうこのごろです。
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