人前でキスするフランス人彼女にたじたじ
リ:何度かデートを重ねて、僕自身、彼女と付き合いたいっていう気持ちが強くなってきてました。でも相手はフランス人で言語の壁があるし、文化も違うから、うまく付き合えるかわからない。いつかはフランスに帰るかもしれないし、この関係がずっと続くかもわからない。ただデートしてるだけなのに、不安でいっぱいになってきて。
赤:惚れたら相手のことしか考えられなくなるんですよね…。
リ:周りの友だちにも「無理だよ、外国人なんて」とか「外国人よりも日本人と付き合った方がいい」といわれたこともありました。そういわれ続けると、僕もだんだんエヴァには不釣り合いなんじゃないかなって思ってきて。付き合うとか考えること自体がおこがましいのかなって。
リ:友だちの小島(仮名)と赤羽で飲んでるとき、「地味な自分は、彼女に不釣り合い。彼女にはほかにいい人がいるはずだから、もう会うのをやめようと思ってる」と愚痴をこぼしたんです。そしたら小島に「このチャンスを逃したら、もうこんなドキドキできる人とは出会えん。やけん、好きならハッキリ好きっていわんと、ほかの男に取れられるで。それでいいなら諦めや」って。バリバリの伊予弁でいわれたんです。
赤:愛媛県出身の方なんですかね。
リ:たしかにそういわれると、チャンスはもうやってこないかもしれないって思って、当たって砕けろの勢いで告白を決意しました。思い立ったが吉日、そのときいた赤羽の海鮮居酒屋から電話して「好きだ。付き合ってくれ」って伝えました。
赤:メッセージのときといい、お酒の勢いを借りていますね。そういえば、フランスって付き合う時に告白する文化はあるんですか?
リ:告白はあまりしないみたいです。欧米ではデーティングっていう恋人のようにデートする期間があるみたいなんですけど、日本みたいにどちらかが告白してから付き合う感じじゃないようですね。
赤:そうなると、彼女は初めての告白で戸惑ったんじゃないですか?
リ:でも、日本らしくはっきり告白したら逆に喜んでくれたんです。「アニメで見たことある!」って。
赤:なるほど、喜んでもらえてよかったですね。
リ:OKされたときは、めちゃめちゃ嬉しかったです。小島マジありがとうって思いました。
赤:嬉しい後押しでしたね。晴れて付き合うことになったワケですが、付き合い始めのころに驚いたことはありますか?
リ:彼女と付き合って驚いたことは、連絡頻度です。1日に何回もメッセージが来ましたし、僕が仕事中であろう時間でもおかまいなしに連絡してきます。私生活では大雑把な面もあるんですけど連絡はかなりマメだと思います。あと、人前でキスするところですかね…。
赤:あ〜それは人によっては恥ずかしく感じてしまうやつですね。ちょっと興味ありますけど。
リ:フランスではカップルになると公共の場でもキスをしますが、日本でも同じようにしてくるので困りました。そこで正直に日本では周りの迷惑になることを伝え、やめてもらいました。とはいえ、いまはフランスに住んでいるので人目も気にせずキスするようになりましたが(笑)。
赤:郷に入れば郷に従えってことなのですかね。ちなみにプロポーズはいつごろされたんですか?
付き合ってから1週間で「フランスで一緒に暮らそう」
リ:実は付き合い始めてから、1週間とたたないうちに「一緒にフランスで暮らそう」っていわれたんです。
赤:展開早くないですか?(笑)
リ:僕もびっくりでした。そもそもフランスで暮らすってことはイコール結婚だし、国際結婚ってまず何からするんだ?いまの仕事は?両親への挨拶は?僕の両親は日本語しか話せないけどどうする?みたいなことが一気に頭を駆け巡りました。
赤:もう逆プロポーズみたいな感じですね。そういえば、フランスといえば「フランス婚」のイメージがあります。
リ:そうですね。日本でいう事実婚ですが、フランスではPACS(パックス)っていいます。税金とか社会保障も婚姻関係と同じように保障を受けられるので、現地でも事実婚であるカップルも多くいますし、実際にエヴァの両親も事実婚状態です。でも彼女のご両親は喧嘩するたびに別れたり寄りを戻したりを繰り返していたらしく、幼いころのエヴァにとってはそれがイヤだったそうで。その影響もあってか、エヴァはフランス婚(PACS)よりも結婚願望が強くありました。
リ:そんな彼女のバックボーンも聞いて、プロポーズって一生に一度の経験だから、何か思い出に残ることをしたいって思ったんです。ちょうどそのころ、彼女が富士山に登ってみたいっていっていたので、富士山でプロポーズすることにしました。
赤:富士山?なんだか壮大なプロポーズ大作戦ですね。
リ:2人とも初登山だったのでツアーに申し込みました。張り切って登って、頂上についたらポケットに忍び込ませていた指輪を渡そうと計画していたんです。でも天候の関係で頂上まで登れず、しまいには僕の体力がなさすぎてヘトヘトに。結局、途中でご来光を見ているときに「Will you marry me?」って伝えました。
赤:結婚してください、ですね。私もいわれたい…!
リ:必死になっている僕の顔が面白かったのか「いい思い出になった」と彼女は笑っていました。計画通りにいかなくてモヤっとした気持ちもあったんですけど、景色は綺麗だしOKしてくれたのが嬉しくて、なぜか僕が泣いてしまったんです(笑)。