帰国するエミリオに、ナナが勝負に出る
ナナ:エミリオがイタリアへ帰国する前日、大阪まで行ったの。「どうしてもあなたに会いたい」って、朝イチの新幹線で。
森山:うわっ、積極的!そんなキャラクターだったっけ?
ナナ:いままでは、どちらかというと受け身だったかも。でも、そのとき迷いはまったくなかった。大阪駅で彼は私を見かけた瞬間、走ってきてハグしてくれたの。
「僕も、ナナに会いたかった」って。そのあと、梅田で彼の友人へのお土産をいっしょに選んだり、道頓堀川で観光船に乗ったり。あんなに楽しい大阪観光は初めてだった。
森山:もう、幸せいっぱいって感じ?
ナナ:うん、本当に幸せだったね。素直に愛情表現をしてくれて、私が返すとまた愛情が返ってきて。いままで付き合った人もいたけど、目の前に彼がいるのに、「この人が好き」と考えると、突然胸が苦しくなるというか。初恋って、これなんだって思った。
森山:友だちの初恋話、そわそわするね…!すごい幸せそうなところ申し訳ないんだけど、何か文化の違いとかで戸惑ったりはしなかったの?
ナナ:うーん、まだ出会ったばかりだし、それも互いに気を使いあってたかな。あ、でも、夜にまたエミリオがラーメンを食べたいっていうから出かけたの。
森山:ラーメン屋さんじゃ不満だったってこと?
ナナ:ちがうちがう、そこは全然OK。ただ、私がラーメンをすすって食べてるとき、彼が「ごめん、前から思っていたけど、その食べ方は下品なんじゃない?」っていって。
たしかに、麺類をすすって食べない海外の人から見たらそうなんだろうなと思って、そのときはなるべく音を立てずに食べたけど、「そもそもここ、日本だから」とは思ったね。
森山:まあ、「郷に入っては郷に従え」っていう言葉もあるしね。
ナナ:そのときは、少しだけムッとしたかも。でも、電車やエレベーターではいつもレディファースト、というより他人ファースト。
愛情表現が豊かで、いま思えば恥ずかしいけど、すっかり私もプリンセス気分だった。
翌日、彼を関西空港まで送った帰りの新幹線は辛すぎて、涙がとまらなかったぐらい。「このまま一生会えなくなったらどうしよう…」って。
森山:日本とイタリア、まあ、かなりの距離よね。
ナナ:会えないのはすごく寂しかったけど、ずっと連絡は取り合ってて。ガラにもなく英会話スクールに入会して、必死に英語を勉強してたな〜。彼とちゃんとメールでコミュニケーション取りたかったから。
森山:その向上心、えらすぎ!
ナナ:でしょ!おかげで仕事にも活かせることができて、いまは憧れのブランドショップへ転職して副店長よ。笑
で、しばらくはメールでのやり取りを進めていたんだけど。その4カ月後に、彼から「ナナ、イタリアにおいでよ!飛行機のチケットを取ってくれれば後は僕に任せて!」ってメールが来たの。
森山:それ、「待ってました!」って感じ?
ナナ:正直、不安はあった。彼は魅力的な人でモテるだろうし、「本気じゃないでしょ」って思ってた。でも、私もちょうど仕事を辞めようと考えていたタイミングだったんだよね。
仕事のノルマはきついし、褒められないし。毎日気持ちが沈んでいって、無理やりテンションを上げようと高校時代の友だちと飲みにいって、センター街とかいっちゃって。
高校生とか大学生のころ、センター街で友だちと集まっていたときは、あんなにムダに最強な気持ちだったのに。高校生の私がいまの私を見たら、めちゃくちゃ鼻で笑いそうって思った。「ダッサ笑」って。笑
そう思ったらなんか悩んでるのも馬鹿らしくで、仕事を辞めてはるばるイタリアまで飛んでいったわけ!
森山:気持ちはセンター街から、一気に彼のいるイタリアにだね。笑