手を伸ばせば届く距離に彼が
サエ:その後も何回かレントンの家にいって、ある日、気持ちよく酔ってレントンのベッドで寝落ちしちゃったんだよね。
ミズ:まぁまぁいい雰囲気作れそうなシチュエーションですね。
サエ:レントンの家は新宿の中心地でアクセスはすごくいいんだけど、ワンルームで狭くて。ベッドのすぐそばにデスクとイスがある、ビジネスホテルの部屋みたいな感じ。
その日は最初ベッドで私が寝転んでいて、レントンはイスに座ってた。うつらうつらして1回目が覚めたときは、デスクに向かって仕事してたの。で、次に目が覚めたら同じベッドに寝てて。
ミズ:おおっ!?
レイ:ヤるだろ。3秒でヤる。
黒田:レイさん火の玉ストレートですね。投手としても才能ありますよ。
サエ:いや、しなかったの!同じベッドで寝てて、ぼんやり「同じベッドで寝るのかコイツ!」と思いつつ、「いや、勝手に寝てるの私だし、コイツのベッドだしな」って納得して。レントンは背中向けて寝てて、私が相手の背中を見つめてる感じ。
黒田:背中を向けてるあたり、気を使ってる感じもありますね。
サエ:あ〜、確かにね。でもなんか、こっち向いてよって気持ちはあった。酔ってるし、そこそこ仲はいいし。
同じベッドで寝られるぐらいだから、嫌われてはいないわけじゃん。ちょっと手を伸ばせば背中に届く位置で、たぶん拒まれることはないんだろうなと。
レイ:どうしてそこで手を伸ばさない。
サエ:うーん、なんでだろうね。そのとき彼氏いなかったのに。やっぱり事前に大量のゴムを見てたせいもあるかな。コイツ、私以外にいるんだし…って。
ミズ:事前にそれを見てなかったら、セッションしてたかもってことですか?
サエ:そういわれるとそうだね。それか、あのとき抱きしめられていたら、何かが変わってたかも。
そもそも相手がいる人と関係を持ったことがないから、結構頭が固いのかもしれない。それからも変わらず、レントンとは友だちよ。
ミズ:いい友だち関係ですね。サエさんは異性でも友情が成立するタイプ。
サエ:いや私、異性なら友情関係ってないと思ってるよ。そんなこといってるの、どうせ建前だけでしょ。だって男と女、何があるかわからないじゃん!
レイ:なんなら同性だって何があるかわからないからね。
ミズ:ということは、いまでもレントンとそういう雰囲気になればヤレるかもという…?
サエ:いや、ヤらない。だって彼氏いるし。
黒田:彼氏がいなかったら?
サエ:彼氏いなくてもヤらない。だって数少ない友だちに近い人だし。極論、男女は誰しもヤるヤらになる可能性があるじゃない。凹凸的にいうと。
レイ:まぁカラダを記号として見るとね。性差の前後で友情を判断するとしたら、サエちゃんは後にあるのかな。性差があると友情はないと。
ミズ:なるほど、そういう考え方もあるのですね。