恋に落ちそうな私を制止した、大人なあの人
ミズ:先ほどいっていた「恋に落ちる直前を逃した」、高校生のころのバイト先のおじさんとは、どんな経緯が?
サエ:地元のお寿司屋さんの店長で、40代独身だったはず。私が16歳で、お父さんと年齢変わらないなって話をしていたの覚えてるから。
ミズ:それは…なかなかの年齢さと若さですね。
サエ:私は地元が荒れていて周りも古のヤンキーばっかりだったんだよね。当たり前のように学校行かず、彼氏も連絡取れないなと思ったらいつの間にか年少(少年院)入ってたり。
私の親もヤンキーみたいなものだし、いまでいう毒親だったから家にも帰れず、友だちの家を転々としながら大学受験の費用貯めるためバイトしてたんだけど。
レイ:頑張ったね。
黒田:それは大変だったでしょうね…。
サエ:そう、それ!いまでこそ大人になったからその重要さがわかるんだけど、承認欲求で心がカラカラの思春期だから。
自分の頑張りや現状を素直に認めてそれを言葉にしてくれる大人が周りにいないことが、すごく辛かったんだと思うんだよね。
黒田:褒められたら反発したくなるから、認めてほしいだけなんだよね。それはわかる。
サエ:子どもだと、学校がメインのコミュニティで狭いしね。そのコミュニティが荒れていると逃げ場もないし、それが当たり前だと思っちゃうし。それが嫌で逃げ出したくて、とりあえず大学は行かないと…って。
ミズ:なるほど。それでアルバイトを始めて、コミュニティ外の大人と出会ったんですね。
サエ:バイト先で生まれて初めて「大人」って大人を知ったのかも。地域性もあるだろうけど、学校が荒れてるから先生も生徒と触れ合わないようにしているタイプしかいなかった。