効果があると思う施策はどれ?
「日本政府が現在実施・導入を検討している施策について、『効果がある』と思うものはどれですか?」という質問では、子どもあり・なしの男女別で見ても、すべてにおいて高い支持を得たのは「待機児童の解消」となりました。
子持ち女性に特化して見てみると、1位は「フレックスタイム制の弾力化、テレワークの推進」(70.8%)、2位に「待機児童の解消」(70.4%)、3位に「放課後児童クラブの拡充」(67.1%)となっており、調査2に続き、ここでも働くためのサポートが上位に並んでいます。
また「マタニティハラスメント・パタニティハラスメントに関する企業への指導」もほかと比べて割合が多くなっており、実際にハラスメントを体験した人がいることがうかがえる結果となりました。
一方で、全体的に支持率が低かったのは「自治体や商工会議所による結婚支援」となっています。
「3世代同居・近居の促進」が子持ち男性においては半数近くが支持しているのに対し、女性の支持は低く(子持ち女性:35.0%、子なし女性:27.7%)、差が見られました。昔から多く勃発する嫁・姑の問題につながりやすいことも一因といえそうです。
マネしたい、海外の施策
「海外の少子化対策の中で日本でも取り入れてみるべきだと思う施策はどれですか?」という質問では、子どもあり・なしの男女別でそれぞれの1位が異なる結果となりました。
子持ち女性の場合、ドイツの「大学まで授業料無料」(65.4%)が1位となり、子どもにきちんとした教育を受けさせてあげたいという親心がうかがえます。
また、子なし女性はフランスの「不妊治療費の全額支給」(54.2%)、僅差で妊婦健診に伴う検査、出産に至るまですべての費用が無料となるイギリスの「National Health Service」(51.8%)が2位となり、妊娠から出産までのサポートを求めていることが良くわかる結果となりました。
一方、男性の場合、子持ちの1位は子どもを3人養育すると年金が10%加算されるフランスの「年金加算」、子なしの1位は子どもの多い世帯ほど所得税が軽減されるフランスの「N分N乗税制」となり、大黒柱ゆえのお金の心配が垣間見えました。
ほかにもスウェーデンには、2年半以内に次の子を産むと先の子の産休直前の所得の8割が育児休業中に再び保障される「スピードプレミアム」、480日間の育休を取得でき相手に譲ることができない育児休暇日数が90日ある「父親専用の育児休暇」、オランダには法律婚をしないカップルや同性同士のカップルなどが子どもを育てることを認める「登録パートナー制度」などもがあります。
さらにイギリスでは国から補助金が定期的に口座に支給され、18歳になったらまとまった資金を引き出すことができる「チャイルド・トラスト・ファンド制度」、フィンランドには妊娠期から子どもの小学校入学まで担当の保健師があらゆる相談にワンストップで応じる「ネウボラ」という制度も。
その国に暮らしている人にしかわからない、良い面ばかりともいえない事情があるかもしれませんが、ぜひ日本にも取り入れてほしいと感じる政策ばかりですね。
少子化が進行していることを知りながらも、出産や子育てに踏み切れないことについても、以下のような意見があがっています。
- 「お金がかかるし自分の時間が無くなって自分の人生じゃなくなっちゃうんだろうなというネガティブなイメージしかないです」(20代/女性/子どもなし)
- 「子育てはお金がかかるということ。養育費の補助などが手厚くないと 結局子どもを産まない方が得をする社会になっている」(50代/男性/子どもあり)
人生において子どもが「負債」となりかねないイメージが一層強く進行していることも見つめていく必要がありそうです。
ますます進行すると見られている少子化問題。子どもを持つためのハードルを下げる政策を増やし、家庭を持ちたいと考える人たちの後押しをしていく必要がありそうです。