妊娠は女性にとって人生最大のストレス
4位の「妊娠は病気じゃない」神話(妊娠は病気ではないから、妊娠中の女性への特別な配慮は不要という考え)。
登壇者の現役ママ・パパであるmiracoのメンバーからも「『妻が妊娠してから家事が適当になっている、病気でもないのに』という男性の発言を聞いた」「妊娠していた自分自身が『妊娠は病気ではない』と考えていたが、妊娠中に急遽入院することになり、母子ともに安全な状態でないことに気づかされた」という声があがりました。
産婦人科医である吉村先生は、このような考えに警鐘を鳴らします。
吉村先生:妊娠は女性にとって人生最大のストレスで、非常につらいものです。妊娠中は血液量もふだんの1.5倍以上になり、心拍数も増える。つわりも個人差があり、中には数か月間働けなくなってしまう人もいます。
男性が「妊娠は病気ではない」と考えるのはとても身勝手。男性が妊娠できないぶん、女性に妊娠をしていただいているわけですから、女性に敬意を持ってもらいたいですね。
りゅうちぇる:「妊娠は病気じゃない」と思ってしまう男性がいるのは、奥さんが旦那さんに自分の状態を伝えられていないケースもあるんじゃないかなと思います。女性の身体にどんな変化が起きているのかわかれば、男は「奥さんの身体の中でははじめてのことがはじまっているんだ。大切にしなきゃいけないな」と思うものなんですよね、普通は。
僕の奥さんは自分の身体の状態を日々細かく伝えてくれたから、僕も「妊娠は病気じゃない」なんて考えには絶対にならなかったし、「不安も共有してふたりでがんばろうね」というスタンスでした。
「母乳でなければダメ」は間違い
第2位は、「絶対母乳育児」神話(母乳が出ないのはママの努力不足。母乳で愛情が伝わるという考え)。妊娠する前から、「赤ちゃんは母乳で育てるもの」という印象を持っている女性も多いかもしれません。
吉村先生:母乳をあげることで母子の関係性によい影響をあたえたり、初乳(産後1週間ほど出る母乳)が赤ちゃんにとって大切であったりすることは事実です。
だからといって、「母乳でなければダメ」ということではありません。母乳をあげられないお母さんや、母乳をうまく飲めない赤ちゃんも当然います。
実際に、私の妻は自分の子に1滴も母乳をあげていません。子どもが飲まなかったというのもありますし、妻自身も早く職場復帰をしたいという希望もありましたから、完全ミルクでした。だからといって、これといって大きな問題はありませんでした。
むしろ「母乳じゃなきゃダメだ」と思い込んだり、母乳育児を強く指導されたりすることが原因で、うつ状態になってしまう女性もいます。母乳があげられない場合、人工栄養で問題ないと考えて大丈夫です。
りゅうちぇる:僕の奥さんは完全母乳でした。ただ「ミルクを使いたくない」とかそういう考えは一切なくて、感覚的には「(母乳が出たから)あげる」という感じでした。
一方で僕の母は、僕を産んだときに母乳が全く出なかったそうなんですね。当時の母は「この子はちゃんと健康に育つのだろうか」と、すごく悩んでいたみたいです。
でもね、僕は母乳を一切飲んでいないけど、こんなにかわいくてかっこよくて、賢くて素敵な子に育ったから(笑)。「(母乳でもミルクでも)全然関係なくない?」みたいな感じです。