Case1
実際の会話でイメージしてみるとよりわかりやすいかもしれません。たとえば、みなさんが誰かとお出かけしたとしましょう。そしてその相手が別れ際に皆さんにこういったとします。
「今日はありがとうございました。とっても楽しかったですが、ちょっと疲れました。では」どんな印象を受けますか?疲れちゃったのか…悪かったかな…そんな感覚がまず生まれてくるのではないでしょうか。
相手は、「とっても」楽しかった、でも「ちょっと」疲れたといっているのです。言葉上では、疲れより楽しさのほうが強調されているはずです。でも、受け取る側は必ずしもそうではないですよね。
「とっても」だろうが「ちょっと」だろうが関係なく、やはり、「疲れた」という言葉のニュアンスの方が強く伝わってきます。
そりゃ「疲れた」という言葉を使うからでしょうと思う方もいるかもしれません。確かにそれもあるかもしれませんが、でも仮に同じことをいっていても、こうであったらどうでしょうか。
「今日はありがとうございました。少し疲れはしましたが、とっても楽しかったです。ぜひまた」先のものに比べたら、「疲れた」という言葉はさほど気にならないのではないでしょうか。
会話における言葉は、次々生まれて次々消えていってしまいます。次にくる言葉に、どんどんかき消されていくのが事実です。ただ最後にあるものだけは、次によってかき消されることがないので残りやすいのです。
Case2
これは色々なシーンで活用できます。たとえば説明する場合。メリットとデメリットをしっかり伝えるのは大事ですが、ただなんとなくいっていると、デメリットばかりが強調されてしまうことがあります。
「こちらには、これだけのメリットがあります。あ、ただひとつだけ気をつけていただきたい点がありまして…」とやってしまうと、このたったひとつの点が、聴いている側には強く残ります。
それはつまり、「途中まではよかったけれど、最後のそれを聞いちゃったらねぇ…」という気持ちにさせやすいということです。それが目的ならばそれもありですが、多くの場合そうではないですよね。ならば、順番にはやはり意識を持つ必要があります。
たとえば真逆にしてみる。「あらかじめ申し上げておきますが、こちらには気をつけていただきたい点が1点ございます。ただ、これをカバーできるだけのこれだけのメリットがあります」これなら、「最初の1点があるにせよ、全体で見たらよさそう」という気持ちになりやすいのではないでしょうか。
人の印象というのは、本当に小さなことで左右させられるものです。自分が伝えたいものをしっかり伝えるには、そういう小さな意識こそしっかり持つ必要があります。
誤解が生まれるのは、受け取り側だけの問題ではなく、多分伝える側にも問題があるからです。誤解のない関係を築くためにも、しっかり「伝わるように伝える」意識を持っていきましょう。
Case3
こんな2人の人がいたとしましょう。
A:頑固だけれど優しい人
B:優しいけれど頑固な人
どちらのほうが優しそうな印象を持つでしょうか。パッと聞いただけでは、Aの方が優しい人のように感じられませんか?もしかしたら2人とも、「優しい」と「頑固」の両方を同じくらい持ち合わせているかもしれないにも関わらず…。
印象に残ったものがそのままイメージとなって心に刻まれます。組み立てを考えるということは「相手の心に何を刻むかを考えること」といえるのではないでしょうか。