行動には、「納得」が必要
言葉はしっかり組み立てることで、よりわかりやすく伝わりやすくなります。ただ、もちろんそれがすべてではありません。何でもかんでも「○○法」に当てはめればいいということではなく、これらはあくまでも「伝わるためのサポート」のひとつとして把握しておきましょう。
時と場合と相手によって、何が必要なのか、何を求められているのかは違います。さまざまな方法を組み合わせて、ベストなやり方を考えること、そのためにまず相手としっかり向き合うことが1番大切です。
SDS法も、PREP法も、DESC法も、「説得話法」であり、その目的は相手にしっかり「理解」してもらい、「行動」してもらうことにあります。とはいえ、人は「理解」できたからといって「行動」するわけではありません。その間には、「納得」が必要だからです。
理解→納得→行動
これが人が「動く」ということ。組み立ても「納得」のひとつの要素ではありますが、理屈だけでは「納得」できないのが人の心というものです。では「納得」のためには何が必要なのか、ここからはそこを少し掘り下げていきましょう。
「納得」のための大事なポイントは主に3つあげられます。
- 人物
- プロセス
- 共感
まずは1つ目の「人物」についてですが、これは「誰がいっているのか」。つまり、話し手がどういう人間なのかということです。同じ内容で、同じ組み立てで、同じ伝え方でも、人によって伝わり方はやはり違ってきます。聞き手から見た話し手の印象が、伝わり方を変えるともいえます。
皆さんも、全く同じことをいわれているにもかかわらず、Aさんのいうことは素直に聞けるけど、Bさんにいわれると腹が立つ、なんていう経験はあるのではないでしょうか。
そもそも話し手に対する愛情や信頼、興味や親近感などがないと、何をいわれても右から左となりやすいものです。たとえば初対面でも、どんな人かわからないままあれこれいわれても、不信感が邪魔をして、穿った聞き方をしてしまうこともあります。「相手に自分のことを開いて見せているか」これが実はとても大事なのです。
「自分のことは見せたくない(語りたくない)けど、自分のいってることはちゃんと聞いてほしい」というのは成り立ちません。自分がどういう人間で、どういう経験があって、どういう考え方を持っていて、どんなことを大事にしていて、といった、一見伝えたい内容とは関係のないようなことが、実はとても必要なことであったりするのです。
自分の何を見せたらいいかわからないという方は、「実は、トーク」から始めてみてはいかがでしょうか。これはその名の通り、「実は」から始まるエピソードを話すことです。
「実は、こんなことをしたことがあります」「実は、こんな経験があります」「実は、こういうことが好きです」…自己紹介の時などにこれをひとつ加えるだけでも、聞き手の聞き方は変わります。
実際私は研修のときなどに、チームでこれをやってもらうこともあるのですが、一気に空気が変わり、会話が弾みやすくなります。「私はこういう人間です」伝わりやすい空気を作るためにも、ぜひ積極的に開いて伝えていきましょう。
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