あなたは自分の母親から突然、こんなふうに打ち明けられたらどうしますか?
「実は…お父さんと別れたいと思っているのよ。あなたはどう思う?もちろん、あんたはお母さんの味方よね?」
世間一般的には60歳以上の夫婦のことを「熟年夫婦」、そして熟年夫婦の離婚のことを「熟年離婚」とよびます。もしあなたが40代なら母親は60歳以上でしょうから、前述のひと言はあなたが「両親の熟年離婚」という場面に遭遇したことを意味します。
「うん。お父さんとはいい加減、離婚したほうがいいし、僕にできることは何でもするよ」
そんなふうに両親の離婚を後押しするような賛成派の息子はごくごく少数。大多数は母親に対して考え直すよう促す、反対派です。
具体的には「いままで何十年も連れ添ってきたのに、なぜこのタイミングで?いままでものらりくらりとやってきたんだから、わざわざ離婚することないでしょ!」という具合に。きょうは、そんな両親の熟年離婚に巻き込まれたとある男性の壮絶なエピソードをご紹介しましょう。
すべての始まりは、あのときだった
今回の相談者は46歳のKさん。ひとり息子の会社員で、妻と15歳の娘と3人で暮らしています。Kさんには車で40分のところに住む、78歳の父親・Iさんと76歳の母親・Mさんがいるのですが、ちょうど2週間前、Iさんが自宅で突然倒れたようで、Mさんが慌ててKさんへ連絡をしてきたのです。
「お父さんがまた倒れたのよ!早く来てちょうだい!」母いわく、父は脳梗塞を発症し、病院へ救急車で運ばれたようで、緊急手術の末、何とか一命を取り留めたとのこと。
そしてKさんは高齢の母親に代わり、父親の入院手続、病状の説明、医療費の連帯保証人、そして手術の立会などを行なったのですが、それが災いのもとでした。
Iさんはまだ手術直後で体の自由が利かず、また脳梗塞の後遺症で発音に難があるにも関わらず、女性看護師に対して当たり散らしたようで、そのクレームが妻のMさんではなく息子のKさんのところにやってきたのです。
しかもKさんが自分の携帯電話に目をやると、おびただしい数の着信履歴が…そう、すべて父が発信元でした。