オープンでいられる場所
僕にとって自分らしさを表現したいファッションに必要だったのが、美容師へのカムアウトでした。これに限らず、両親や友人同僚などの身近な人たち以外にも、日常でたびたびカムアウトの必要性を感じることが少なくありません。
たとえば彼女と買い物をしている際、家庭用品などで接客を受けていると「ご友人同士でルームシェアですか?」と聞かれ、「はい」と答えてしまうことが多々あります。
このように言えないときも多いけれど、僕は身近な人たち以外にもカムアウトを12年以上繰り返し、自分のセクシャルやアイデンティティをオープンにできる場所を広げてきました。
今回お話しした美容師は、「いままでのお客様でもカムアウトしてくれた人がいたし、珍しいことじゃない」と言っていましたが、僕が身近でカムアウトをした相手にとっての「初のLGBT当事者」である場合がほとんどでした。僕にカムアウトされたことがきっかけで、それぞれがLGBT当事者とどう接するかを初めて考えたのではないかと思います。
その末に「いままで通りに接する」ことを選んでくれました。そのおかげで彼女とのことを偽ることなく、オープンでいられる場所がカムアウトしたひとりひとりを中心に少しずつ広がっていきました。
カムアウトしなくても自分を隠さないでいられることが一番だということに変わりはありませんし、カムアウトすること自体も必ずしも必須ではありません。する、しないも選べるべきです。
しかし僕が通うヘアサロンのように、カムアウトをしたいと思ったかたが素直な気持ちで自然と話してしまえるような場所が、少しでも増えたらいいなと思います。そしてそれを作るのは僕を含めた、当事者問わないひとりひとりだということも心に留めて置きたいです。
- image by:Unsplash
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。