こんにちは。韓国からリアルな情報をお届けしている、日本語教師兼ライターのHAZUKIです。
日本で新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいると聞くたびに、日本の家族や友人に会える日も近いのではないか?と期待に胸がふくらみます。しかしいまだ日韓両国の感染者数は減っておらず、いつ自分が新型コロナウイルスの感染者や濃厚接触者になるかもわからない状況です。
きょうご紹介するのは、韓国のSRT(新幹線のようなもの)で新型コロナウイルスの濃厚接触者になってしまった、韓国人の知人のお話。
韓国で濃厚接触者になった場合の処遇は、韓国人であろうが日本人であろうが変わりません。これから韓国に来られるかたや「コロナ禍の韓国」を知りたいかたの参考になればと思い、ヒアリングした知人の体験談を、提供してもらった写真とともにご紹介します。
濃厚接触者とは
新型コロナウイルスに感染していることが確認された方と、ウイルスがうつる可能性がある期間(発症2日前から入院等をした日まで)に接触のあった方々のうち、近距離で接触、あるいは長時間接触し、感染の可能性が相対的に高くなっている方のこと。保健所が関係性、接触の程度などについて調査を行い、個別に濃厚接触者に該当するかどうか判断します。(参考:厚生労働省)
韓国・濃厚感染者の1週間
information
- PCR検査結果:陰性
- 日時:6月初旬〜中旬
- 陽性者との接触場所:SRT
- 隔離場所:自宅
- 隔離期間:1週間
いま韓国では、マスクを外す可能性のある場所、例えばレストランや喫茶店に入店する場合、連絡先を記入しなければなりません。これらの場所を利用した人が新型コロナウイルスの陽性者となった際、濃厚接触者に連絡を取るためです。濃厚接触者になった人は、検査結果が陰性であっても1~2週間の隔離生活を送らなくてはなりません。
今回知人が濃厚接触者だと判断されたのも、マスクの着用が義務付けられている新幹線の中。オンラインでチケットを購入したため、個人情報が保健所に伝えられたのだと考えられます。乗ったのは(濃厚接触者として連絡を受ける)1週間前のことだったので、「正直、感染していたらもう症状が出始めているし、いま陰性反応ならかなり感染の可能性は低いんじゃないかと思った…」とのことですが、ルールはルールとして隔離生活を1週間行ったとのこと。
ここからは、知人に聞いた話を、そのときの写真とともに時系列で紹介します。
まずは保健所からの電話で、自身が濃厚接触者になったことを知らされます。最初の言葉は「落ち着いて聞いてください」です。そんな言葉を言われたら、私ならさらに焦ってしまいそうですが…(笑)
この電話で「いつ、どこで感染者が出て、濃厚接触者になったのか」を説明され、電話が終わったらすぐ自宅に戻るように指示されます。また、「いつまでに検査を受けるように」などといった、隔離期間中にやるべきことや注意点を教えてもらいます。このときに指定されたGPSアプリをスマホにダウンロードすると、その時点から行動が監視されるようになるそうです。
「交通機関を使ってはいけない」といわれたため、知人は出張先から国が指定している「新型コロナウイルス感染疑い」の人専用タクシーを呼び、そのまま自宅に帰ったそうですが、このタクシーは有料です。普通のタクシーよりも割高な上、自宅までの距離があったので、かなりの値段になってしまったとのこと。
タクシーの中から会社に電話をかけ、濃厚接触者になったことを説明し、1週間は自宅勤務を行うことにしたそうです。
次の朝、指定された場所に行き、PCR検査を受けます。ここまでの往復も専用タクシーを利用します。
その翌日には、自宅で過ごすための食料などの支援物資がもらえます。 支援物資の内容は、レトルトごはん、インスタントラーメン、レトルトスープ、韓国のり、キムチ、カレー、缶詰などです。
保健所のスタッフが家まで届けてくれ、そのときに今後の説明も受けます。落ち込まないようにという配慮からか、中には色鉛筆と塗り絵も入っていたそうです。
体温計も入っているので、これで体温を測ります。1日に2度、保健所から状況確認の電話が入りますが、AIが対応してくれたとのこと。
驚いたのは、ゴミに関する制約もあることです。濃厚接触者が触れたごみは、すべてこのような専用のごみ袋に入れて処理しなくてはなりません。支給されたゴミ袋がいっぱいになったと連絡すると、保健所の人が取りに来てくれ、新しいゴミ袋をくれます。
1週間の隔離期間終了後、症状が出なかった場合は、普通のごみとして扱ってもよく、市の指定のごみ袋に入れ替えて処理します。
それにしてもこのオレンジの袋、ちょっと怖いですよね。隣の家の前にこのゴミ袋があったら、少し警戒してしまうかもしれません。
家族と一緒に暮らしている場合、「完全隔離の生活ができること」が自宅で隔離生活を過ごすための条件になります。家族がいるのにワンルームではダメだということですね。ほかにもトイレは濃厚接触者の使用後30分は使ってはいけない、同じ部屋で過ごしてはいけないなど厳しいルールがあります。
ほかの人を家に招くのも厳禁です。バレないだろう…と思って家に入れ、もし感染してしまった場合、多額の罰金が科せられます。ですから基本的にみんな守っているようです。
いくら自分が感染予防を徹底していても、隣にいただけで濃厚接触者になってしまうのはとても怖いことです。特にフリーランスの日本語教師として働いている筆者にとって、1週間自宅から出られないのは正直きつい…。
いまは、できるだけ外に出ない、交通機関を利用しないというのが、自分を守る一番の方法かもしれません。
- 参考:厚生労働省
- image by:取材協力者提供
- ※掲載時の情報です。内容は変更になる可能性があります。