印象に残っているお客さんとのエピソードを教えてください
水曜20時、お饅頭を買っていくお客さん
「毎週水曜日の夜20時にお饅頭を買いに来るおばあちゃんがいました。お饅頭ひとつだけ購入していくことと、優しく丁寧なかただったのですぐ覚えました。
ある水曜日、その日はどしゃ降りの雨が降っていて心配だったので、勇気を出して話かけてみました。
『このお饅頭お好きなんですか?』と私が雑談を投げかけてみたら、『亡くなった夫が大好きだったの』と少し寂しそうに笑ったので、私は聞いてはいけないことを聞いてしまったのかと慌て、『そうなんですね。どしゃ降りの雨なので帰り道気をつけてくださいね』とだけ言って、会計を進めその日はそれで終わりました。
翌週の水曜日も雨が降っており、『きょうも雨なので気をつけて帰ってくださいね』と伝えると、『いつもありがとうございます』と言われ、とてもあたたかい気持ちになりました。
次の週の水曜日はお饅頭が2つになり、『ひとつはあなたのぶん。よかったら食べてね、いつもありがとう』と言って、会計後にお饅頭をくれました。
その話を店長に話したところ、店長もそのお客さんを知っていて、おばあちゃんが毎週水曜日20時に買いに来る理由を教えてくれました。
店長いわく、水曜日の20時に旦那さんが亡くなってしまい、その際にずっと大好きだったあのお饅頭が食べたいと言っていたからだそうです。
いまでは、家庭の事情であまり水曜日にシフトが入れなくなりましたが、たまに入ったときにはそのお客さんと雑談したりする仲良しの常連さんです」(33歳/関西エリア)
何度も感謝してもらって…
「コピー機の前で困っている80代くらいの男性がいたので、コピーの方法を伝えつつ、お手伝いをさせていただきました。男性はすごく感謝されている様子で、私もあたたかい気持ちになりました。
10分後、その男性がケーキを待ってまた来店されました。コピーのお手伝いをしたことをすごく感謝されていて、私にケーキを買ってきてくださったそうです。もちろん受け取ることはできないので、丁寧にお断りし、お気持ちだけいただきました。
男性は何度も感謝の言葉を繰り返されていて、『私が当たり前のようにした行為が誰かの人助けになるんだな』と私も嬉しくなり、とても印象に残っています。
困っているお客さんがいたら、積極的に声をかけようと改めて決意した印象深い出来事でした」(21歳/関西エリア)
思わず涙が…サバ弁当のお客さん
「70代くらいの優しそうなおじいちゃんが、毎日午前中にお弁当を買いに来てくださっていました。サバの入ったお弁当が好きなようで、いつも2つ購入されていました。おじいちゃんは優しい笑顔で『いつもありがとうね。私も妻もこのお弁当を一緒においしいって食べるんだよ』と言ってくれて、とても嬉しかったです。
ある日、おじいちゃんが何日も来なくなり、何かあったのか心配していました。お客様なので、お店以外でのことはわからず…また来てもらえるのを待ってました。
来なくなって2カ月くらい経ったころ。ようやくおじちゃんが来店されて、お弁当を2つ取り、いつものように私のレジへきました。
『お久しぶりですね』といつもの笑顔で話されたので、『最近見なかったからどうしたのかなって思ってました』と言うと、『きょうこのお弁当を妻と食べるのが最後でね』とお話しされ、『?』となっていたら、『妻の病気が悪化して、昨日先にいってしもうた』『最後に好きなこのお弁当を一緒に食べようと思って買いにきたよ』と話してくれました。
『次からは弁当はひとつになるなぁ』と寂しそうな笑顔を見たときは、思わず涙が出てしまいました。
お客様と店員という関係なのですが、こうしたちいさなご縁も大切だなと思いながら毎日仕事に励んでます」(30歳/九州エリア)