あり得ない「提案」に
「疎遠にしたママ友といえば、息子の通う保育園で知り合い仲良くなったDさん。
勤めている会社では営業部長の肩書きを持っているとかで、お子さんの送り迎えで見かけるときはいつもびしっとスーツを着こなし、はきはきと自分の意見を口にする姿に同性ながら憧れていました。
私は小さな会社で事務のアルバイトをしていて、そんな自分に不満はないけれど上昇志向の強いDさんを見ると羨ましいなと感じるときも多くて。
明るい性格のせいもあってかDさんの周りには人が集まり、何人かでできた仲良しグルーブでもDさんがいつも先頭を切って話題を引っ張るのが楽しかったです。
園の卒業が近づいたころ、子どもたちを含めてみんなでお祝いパーティーをする話が出ました。
どこかお店の個室を予約して食事をするか、誰かの家に集まってご飯を持ち寄るかなどいろいろな意見がグループラインで出るなかで、Dさんからのメッセージは『カラオケのパーティールームを借りよう』という案。
食事付きで負担が平等になる、というのはわかるしカラオケも楽しいなと個人的には思うけれど、メンバーのなかにはお子さんがアレルギーを持っていたり聴覚過敏でうるさい場所が苦手だったりすることもあり、いろいろな事情を考えると誰かの家で過ごすのがストレスがないかも、という流れになっていました。
『カラオケはまた大人だけで楽しみたいね』と私が送ったら、Dさんは『いい案だと思うけどな。ご飯の準備も大変だし、家を使われる人の負担が大きくない?』とこだわっていて、聴覚過敏のお子さんを持つメンバーが『うちの子がカラオケとか苦手で、せっかく提案してくれたのにごめんね。うちの実家が広いから気にせず使って』と返したら、『ヘッドホンでも持ってくれば?』とDさんが即返信して、これには私もドン引きしました。
メンバーから返信はなく、ほかの人が『それじゃ○○ちゃんが楽しくないじゃない』と送ってきたけど、嫌な空気でしたね…。
結局そのメンバーのご実家を借りる案にDさん以外が賛成して決まったのですが、段取りを話すときもDさんのテンションの低さは丸わかりでほかの人が気を使う状態…ずっと気が重たかったです。
何とか当日を迎えたものの、Dさんはつまらなそうだしそのメンバーは明らかにDさんを避けているし、このパーティーの目的は何だったのだろうと虚しくなりました。
この日を待っていたかのようにそのメンバーはグループラインを黙って脱退し、それを見て私もメッセージを送るのはやめ、誰かが話題を出しても未読スルーで置いています。
Dさんとは園で会ったときは挨拶をするけれど、昔のような憧れの感情は消え、LINEで個人的にやり取りすることもなくなりました。
他人の事情をまったく考えない、失礼な『提案』ができる姿は、どれだけ仕事ができようと賢かろうと、仲良くしようとは思えません」(36歳/事務)
カラオケのパーティールームを借りる提案そのものはいいといえますが、事情を抱える人がいるのならそれを考慮するのが当然です。
自分の案に固執するあまり、他人の事情そのものに口を出すのは失礼なことであり、相手の自尊心を大きく傷つけます。
誰のためのパーティーなのか、自分の満足を優先するような姿は受け入れがたいもの。
複数のママ友とのお付き合いでは、こんなとき間に入ったり仲を取り持ったりする人が出てきて不要なストレスが生まれるのも問題ですよね。
楽しいコミュニケーションは、互いの状態を尊重してこそ成立します。それができないママ友とは、当人が社会的に成功していようとも親しくはなれないもの。エゴは決して自分のためにはならないのだと、改めて考えます。
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