神戸メンタルサービスの平です。ヴィジョン心理学創始者のチャック・スペザーノ博士に師事。プロセスを重視した本格的なグループ・セラピーを開講し、20年以上セラピストとして働いてきました。
最近は、パートナーが「躁うつ」や「うつ」をもつという人からのご相談をいただくことがよくあります。
「躁うつ」と「うつ」の違い
「躁うつ」と「うつ」には違いがあります。
まず、俗に「躁うつ」と言われるのは、双極性障害という病気です。気分がハイテンションになる躁の状態と、激しく落ち込むうつの状態を繰り返すことが特徴です。
躁うつ病の場合、問題が起こるのは、躁の状態にあるときが多いようです。
この状態のときは、まるでお酒を飲んでいるときのように、高ぶった気分になり、だれかれかまわず話かけたりしがち。
ときには、高価な買い物をしたり、ギャンブルに全財産を注ぎ込んだり…あるいは、「俺を誰だと思っているんだ!」などと言いながら相手を選ばずにケンカをしたり、会社のボスに食ってかかって職を失くしてしまったりすることも。
そして、この躁の状態が終わると、激しく自分を責めるうつ状態に陥ったりするのです。
一方、「うつ」の場合は、気分が高揚する躁の状態はありません。単極性うつ病とも言われ、いわば落ち込みっぱなしであることが特徴です。
なかには「微笑みうつ」と呼ばれるものもあります。人といるときにはニコニコと明るくふるまっていますが、一人になるとスイッチが切れたかのように落ち込んでしまうというものです。
うつ病は、太陽の光の加減とも関係があるとよく言われます。たとえば、冬場の「冬季うつ」と呼ばれる状態は日照時間が短くなってくると起こりやすいようです。
また、「五月病」とも言われますが、日照時間が長くなり、陽光も強くなる5月ごろになると、まるで光を避けるかのようにうつ状態に陥ったりすることもあります。
うつが強くなると、人はなにもする気力が湧かず、寝たきりのような状態になることも…。食欲は低下し、感情表現は乏しく、無表情で、ぼんやりとしたり、声が小さくなったりします。
「うつ」の傾向をもつ人の特徴
そして、うつの傾向をもつ人々に多くみられるのが、パートナーに強く依存するということです。
「だれかに頼らないと、自分は生き延びることができない」という思いが心のどこかにあるので、自分を愛してくれる人に強く執着します。
また、ものごとが自分の期待どおりにいかなかったり、思い通りにならないことがあったりすると、攻撃性が非常に高くなり、パートナーをコントロールしようとする可能性もあるでしょう。
その背後にあるのが、「パートナーに離れられてしまったら、自分は生きてはいけない」と思うほどの不安や怖れなのです。