最近話題になっている「子ども部屋おばさん(こどおば)」。
実家暮らしには「支出が減る」「家事の負担が少ない」などさまざまなメリットがある一方で、結婚して家を出て行ったほうがいいかもと、婚活を考え始める女性もいるようです。
今回はそんな女性のひとりである、真理子さん(仮名/42歳)に婚活の体験談を伺いました。
実家暮らしの40代女性のリアルな「婚活」体験談
ーー真理子さんが婚活しようと思った理由はなんですか?
「いつまでも実家暮らしを続けるわけにはいかないな、という思いからですね。実家と職場が近いので実家を出て一人暮らしをする理由はないけれど、だからって家にお金を入れずにこのまま居続けるわけにもいかないし…。
もう40歳を過ぎていたので、老後のことを考えると、やっぱり一人で生き続けるのも寂しいなと思ったからです」
ーー自分の将来のことを考え、結婚して家庭を持ちたいという選択に至ったわけですね。
「そうですね。母に『孫の顔が見たいなぁ』と言われたのも理由のひとつでした。一人っ子なので、私が結婚しないと孫の顔は見れないんですよね。
ただ、もう41歳。高齢出産となるわけなので、期待はしないでくれと話しました」
ーー親からの言葉も真里子さんの背中を押したというわけですね。婚活はどのような方法で始めましたか?
「結婚相談所に登録しました。最初はマッチングアプリなども考えたんですが、40代以上で実家暮らしというと、全然マッチングしなくて…。声をかけてくださる男性もいたんですが、タイプじゃないことのほうが多く、結婚を真剣に考えていない人も多かったのでやめました。
この年になって選り好みするなんて贅沢だ、って思われるかもしれませんが、結婚は人生の重大な出来事です。妥協はしたくありませんでした」
ーーたしかに、妥協した相手との結婚生活は長続きしない可能性もありますもんね。真理子さんはどんな男性との結婚を希望しているんですか?
「いまは違うんですが、当初は年収1000万以上、結婚歴なし、大手企業勤め、自家用車あり、貯金あり、身長175cm以上、筋肉質で、趣味がアウトドアやスポーツな男性で、結婚後も仕事を続けさせてくれる男性、家事や育児は折半できる人を探していました。
普段家では家事をしないし母親に任せっきりなのですが、さすがにそれじゃあまずいかなと思って。でもほどほどに甘やかしてくれて、いまの暮らし方を大きく変えなくて済む、まるでお父さんのように安心感のある男性がよかったんです」
ーーなるほど。いまは違う、ということは当初と条件が変わったんですか?
「はい。仲人の方に、『この条件を満たす男性がいないわけではありませんが、もう少し条件を緩くしたほうが、お相手から返事をもらいやすいですよ』と言われました。
かなりオブラートに包んでくれましたが…要は、こういうハイスペック男性は、私のような女性を選ばない、ということですよね」
ーーでは、そこからどのように条件を変えられたんですか?
「まず前提として私は実家暮らし、年収は350万円ほどの派遣社員で結婚歴なし、車の免許はありません。貯金はありますが、趣味はお菓子作りとキャラクターグッズ集め。身長は150cmのややぽっちゃり体型で、スポーツは一緒にやれたらいいな…という感じのスペックです。
それを踏まえて、相手の年収は400万円以上まで下げ、勤め先や身長は不問、土日休みという希望だけ合うようにして、趣味は『あまりお金を賭けずに一緒に楽しみやすいもの』、家事や育児の負担は都度相談という条件に変えました」
ーー条件を変えたことで、婚活はしやすくなりましたか?
「いままでよりも格段にお相手が見つかりやすくなりました。結婚相談所でお見合いする場合、こちらが相手を気にいっても、相手からOKの返事が出ないとお見合いはできないんですよね。
これまでは断られてばかりだったんですが、条件を変えたことでOKの返事がもらえるようになったんです」
ーー妥協して結婚相手を探すことに抵抗を感じる人が多いと思いますが、結果的に出会いのチャンスが増えたのならよかったのかもしれませんね。これまでに何人の人と出会いましたか?
「まだ3人ほどしか会っていません。一人目は同い年の男性で、年収は800万円、大手企業に務めている男性で、自家用車を持っており、見た目は私のタイプにドンピシャ。そして私と同じく実家暮らしでした。
実家暮らし同士なので話も合うかと思いきや、彼は私に『母親的な役割』を求めてきて、家事や育児は一切しないと言うんです。『それは女性の仕事だから』が口癖で、なるべく分担し合いたいなと思っていた私とは、明らかに相性が合いませんでした。
話し合いで歩み寄っていきましょうと最初から言われていましたが、彼の言う話し合いは『自分の意見に女性が寄り添うこと』のようで…スペックはかなり申し分なかったのですが、性格や結婚後の方針が合わない以上、交際へ進むことはできませんでしたね」
ーーたしかに、婚活では相手のスペックだけではなく結婚観や性格の相性も重要になってきますよね。
「そうなんです…。それと、価値観の違いが大きすぎるのも問題だなと感じました。それに気づいたのが、2人目の男性です。
スペックも申し分なく、最初のお見合いでも話が弾んだので、レストランでの食事をすることになったんです。しかし、彼は私のような『子ども部屋おばさん』にかなり偏見を持っている人でした。
『実家暮らしだから知らないか』とか『君は母親に甘えてばかりでわからないと思うけど』とか『自立しない女性の面倒を見るなんて、責任重大だな』とか言ってきて…。結婚観は合っていたんですが、実家暮らしの人はこういう人だろうという偏見の強さにショックを受けてお断りしてしまいました。
プライドの高そうな方だなとは思っていましたが、実家暮らしが長かったというだけでここまで言われるなんて思わなくて、食事後に仲人の方に愚痴を言ってしまいましたね」
ーー結婚相手探しで気にしなければいけない項目がどんどん増えてきますね。
「そうなんですよ!これが20~30代だったら、また違ってきたんだろうなと思うと悲しくなります。実家暮らしでのんびり暮らしていたけれど、本当はもっと早く動かなきゃいけなかったんだって。
結婚なんていつでもできる、このまま実家で暮らし続けててもいいや、と甘え続けていたツケが回ってきたのかなと思いました」
ーー実際に婚活を始めてみないとわからない、ということはたくさんありますよね。最後に、3人目の男性について伺ってもいいですか?
「3人目の男性は、年収は450万円ほど。身長が160cmで、見た目はあまり好みではなく、まぁまぁ清潔感のある方かな…という印象でした。なんとなく最初はお断りしようと思っていたんです。だけど仲人さんが『性格や価値観がかなり似ていると思いますよ』と言ってくださったのでお会いしたんですよね。
そしたら…家事や育児を分担したいという点がすごく一致しましたし、性格も穏やかで優しく、実家暮らしなことを一切気にしていない人でした。むしろ『ご両親思いの素敵な方ですね』なんて言ってくれて。
現在は一人暮らしな彼ですが、数年前までは実家に暮らしていたようで、実家暮らしならではの苦労にも共感してくれました。ここまで寄り添ってくれて、否定しない男性に出会えると思っておらずびっくりしました」
ーースペックは当初の予定とだいぶ離れていますが、その点については問題ないと感じていますか?
「もちろん理想のスペックに近いほうがうれしいですが、複数の男性と出会っているうちに、スペックよりも大事なのは内面性だなって気づいたんです。私も『派遣社員とか実家暮らしとか、そういう部分じゃなくて内面を見てよ』と男性に思っていたところがあったので、こちらも同じように内面で判断するべきだよなと気づきました。
子ども部屋おばさんを脱しようと決意したことで、まさか男性に対する考え方や価値観を変えるきっかけがつかめるとは思っていませんでしたが」
ーー暮らしを変えようという勇気ある一歩が、真理子さんにさまざまな変化や素敵な出会いを運んできてくれたのかもしれませんね。素敵な成婚報告、お待ちしております!本日はありがとうございました。
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