6歳差姉弟を育てるママライターEMIです。両親の介護体験をもとに、介護に関する記事を書いています。
近年、介護現場の高齢化が深刻な問題となっていますね。
そこで今回は、介護現場で進む高齢化が、利用者やその家族にどんな影響を与えているのか…私の体験を交えながらお話しします。
高齢介護職員のよさと課題に一緒に向き合いながら、これからの介護のあり方について考えてみませんか?
年齢が近い介護職員のメリット
介護者と年齢の近い介護職員は、介護者とのコミュニケーション面でメリットが大きいと感じることがあります。
なぜそのように感じるかというと、共通の話題や経験が多いことで、自然な会話が生まれやすいからです。
実際に、認知症の母の介護で、高齢介護職員のよさを実感しました。
母が認知症になり、一番頭を悩ませていたことは、入浴拒否です。
母は、介護付き高齢者住宅に入居しており、週に2回入浴介助を受けています。
さまざまな年齢の介護職員が母の入浴介助を担当しましたが、母は頑なに入浴を拒否。
比較的年齢が若いヘルパーさんが「きょうは暑くて汗をかいたと思うので、風呂に入ってスッキリしましょう!」と入浴を勧めても、「私は入らないわよ!」と拒否する日々が続きました。
この状況に、介護職員も私たち家族も非常に困っていたのです。
しかしある日、60代くらいの介護職員が担当になると、状況が一変しました。
この介護職員は、母と同世代の歌手の話をしながら、さりげなく「お風呂一緒に入りましょうか」と声をかけてくれたのです。
すると不思議なことに、いつもは入浴を渋っていた母が「そうねぇ、入ろうかしら」とあっさりOK。
年齢が近いことで生まれる親近感や共通の話題が、母の心を開いたのかもしれません。
その後もその介護職員が担当の日は、入浴するようになりました。
このように、介護者と年齢の近い高齢の介護職員は、利用者との心の距離を縮めるというよさがあります。
介護職員の高齢化にはさまざまな課題がありますが、このようなコミュニケーション面でのメリットは、大きいと感じました。
高齢介護職員が担当で不安に感じること
先ほど高齢の介護職員には、経験や年齢が近く親近感がわくといったよさがあるとお伝えしましたが、一方で体力面で不安を感じることもあります。
体力面での不安
私の父は、パーキンソン病を患い、体が不自由でした。そのため、日常の介護にはかなりの体力が必要に…。
特に、ベッドから車椅子への移乗、入浴時の介助など、高齢の介護職員にとってはそれが大きな負担になっていると感じることも多かったです。
デイサービス送迎時の不安
高齢介護職員が担当で感じる不安は、体力面以外にも…。
最近では、デイサービスの送迎を担当するドライバーの高齢化も進んでいます。
私の母は週に3回デイサービスに通っていますが、送迎を担当するドライバーが高齢だと正直不安に感じてしまいます。
経験があるからこその安心感もありますが、ニュースで高齢ドライバーの事故を耳にするたびに、どうしても送迎時の安全性が気になりますね…。
これからは若手とベテラン、それぞれの強みを活かす
ここまで、介護施設を利用する家族の立場から高齢介護職員のよさや不安面など感じたことをお伝えしました。
私は介護の現場で働いたことがないので偉そうなことは言えませんが、利用者家族の立場から感じたことを最後にお伝えします。
介護の現場では、若手職員とベテラン職員がそれぞれ異なる強みを持っていると感じます。
この両者の長所をうまく組み合わせることが、今後の介護には必要ではないかと思いました。
若手職員は体力があり、介護ロボットやテクノロジーを活用した支援など新しい技術を素早く習得できる柔軟性が強みです。
しかし、一方で経験不足から利用者の細かな変化に気づきにくいこともあります。
ベテラン職員は豊富な経験を持ち、利用者の小さな変化に気がつきやすいという強みがあります。利用者や家族との信頼関係も築きやすいです。
しかし、体力面での不安や、テクノロジーを活用した新しい介護への取り組みに抵抗感を感じる場合も考えられます。
これらのよい点、不安な点を踏まえ、若手とベテランが協力し合える体制づくりが今後の介護現場では必要になってくるのではないでしょうか。
たとえば、ベテランが若手に経験を伝授しつつ、若手が体力を要する作業を担当する、デイサービス送迎時の運転に関しても若手ドライバーとのペア制を導入するなど…。
お互いの強みを活かせる現場作りが必要になってくると思います。
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