こんにちは。メンタルトレーナー&心理カウンセラーの吉田こうじです。大人になってもあなたを苦しめる『「毒親の呪縛」を本気で断ち切る実践トレーニング』を連載しています。
本記事内に登場する「毒親」とは
子どもに対する拒絶、侮蔑、無視、過干渉、虐待などによって、子どもの心身に罪悪感、劣等感、不安感。過剰な義務感、不足・欠乏感、羞恥心、無価値感などのネガティブな思考や感情を継続かつ執拗に植え付け、それによって子どもを「自分の所有物」かのようにコントロールする親のこと。また、「親」とは実の親のみならず、「親代わり」の身近な人も含めます。
毒親に対する4つのサバイバル戦略
毒親から過剰な期待や完璧さを要求されて思い悩む子どもは、大きく4つの方向性に進むようです。
1つ目は、「親から賞賛、承認を勝ち得るために、死に物狂いで頑張る」という方向。2つ目は、「徹底的に親に抵抗する」という方向。そして、3つ目は「親の言いなりになり支配されることを受け入れる」という方向。4つ目は、親は親、私は私とスルーし、表面上は親のいうことを聞いているフリをしながら、「親を手玉に取る」という方向です。
4つ目の方向性に進んだ場合、親からの心理的な呪縛を受け続けることがないので、この記事では取り上げません。
それぞれの戦略を身につけた子がどうなるかということ、そして心理的呪縛を解くためにできることを見てみましょう。
1つ目の「親から賞賛、承認を勝ち得るために死に物狂いで頑張る」方向に進むと、大人になってからも日常的に他者から評価判断されているという強迫的な観念を持つことが多く、何かを成し遂げても「満足感」「納得感」「充実感」を感じづらくなります。
ちょっとでもうまくいかなかったりするとパニックになってしまったり、自暴自棄になってしまったり、極端な行動をしてしまったりすることも。また、他者からの評価判断が怖くて対人恐怖、視線恐怖になることもあります。
2つ目の「徹底的に親に抵抗する」方向に進んだ場合、親の支配から離れ、うまく自分のアイデンティティを確立できればいいのですが、「親の望むことをするのは敗北だ」といった凝り固まった信念を持っていると、自分では親に抵抗して自立しているつもりでも、実は親の呪縛に取り憑かれたまま…ということになったりもします。
たとえば、自分の興味関心があるものがあったとしても、それを親も望んでいたりすると無意識に反発し、本当は好きでもなければやりたくもないものをやる方向に進んでしまう、といったような…。
そのせいで余計な苦労を背負い込み、失敗体験を重ねる方向に頑張ってしまう。そして親から「ほら!だから私のいった通り無理だったでしょ!」と言われてさらに傷つけられる。こんなふうに、結果として親の呪縛に捕まっているというケースも少なくありません。
3つ目の「親の言いなりになり支配されることを受け入れる」場合については、これまでの記事でご紹介しているので、関連記事をお読みください。
親の心理的な呪縛を“見える化”しよう
結局、「スルー」以外のどれを選択したとしても、心の中に巣食う「親の呪縛」をなんとかしない限り、悩ましい状況から抜け出すことは難しいといえます。
多くの場合、「親の心理的な呪縛」は、何かの出来事に遭遇した際に、思わず反射的に「そうしなければならない(そうするべき=命令)」「そうしてはならない(そうするべきじゃない=禁止令)」といった、MUST思考の反応として現れます。
MUST思考ですから、自分が考えている「MUST」に反するような出来事に遭遇すると、反射的に、「怒る」「動揺する」「失望する」「嫉妬する」など、心に強い衝撃を受けます。
そのため、自分が持っている「べき論」を客観的に見える化することは、親からどんな呪縛を刷り込まれているのかを知るうえではとても役に立つのです。
ただ、せっかく見える化まではできたとしても、そのMUST思考には、「あるもの」も一緒にセットになっていて、その「あるもの」のせいで、毒親の心理的な呪縛から自分を解放することが阻害されたりします。
さて、そのセットになっている「あるもの」とは何でしょうか?