クィアマガジン「purple millennium」を運営し、LGBTQ当事者としての経験や考えを発信しているHonoka Yamasakiです。
「あの子、オカマっぽいよねぇ」「あの先生、男なのに女っぽい」と嘲笑していたのは小学生でした。
子どもたちは、よくも悪くも純粋であるがゆえに、自然と「女/男とはこういうものだ」というジェンダー規範的な認識が根づいています。
思考力が十分に伴わないうちは、大人や環境から発信される情報を疑いなく受け入れます。セクシュアリティ、ジェンダー、性表現、性愛。多様な性を認知する代わりに、限定的な情報が拡散されることで、さまざまな問題が生じているのが現状です。
セクシュアルマイノリティへのいじめや差別は依然として存在するなか、その問題を解決するひとつの手段として「教育」があげられます。
LGBTQ含むセクシュアルマイノリティを取り巻く正しい認識は、教育を通してどのように伝えられるでしょうか。そして、当事者が安心して過ごせる環境をどのようにつくっていけるのでしょうか。
同性を好きになったあの日
初めて同性への恋心を抱いた学生時代。いままで男性としか恋愛に発展したことがなく、同性を好きになることへの違和感を抱えていました。自信をもって好きという気持ちをもてないのは、自分が“おかしい”と思い込んでいたからです。
当時は、この感情を“おかしい”の一言で済ませていましたが、いま考えるとさまざまな要因があることに気づきました。
同性を初めて好きになったとき、なぜその人が魅力的に感じたのか、理由を探そうとしていました。「普通の感情ではない」と思っていたせいか、自分で納得できる何かを見つけようとしていたのです。
ですが、ネット上で同性愛について調べると、同じ境遇の人を見つけたり、自分にも当てはめられる言葉があったりと、安心したことを覚えています。
同性愛者のなかでもホモフォビア(同性愛嫌悪)を抱く人はいます。そして、同性愛者であることを理由に、いじめや差別を受ける人も珍しくありません。
もし、すでに同性愛が異性愛と同じように特別ではないことが前提にあったら、自分から情報を調べる必要も、嫌悪感を抱いたり抱かれることも減るでしょう。
学校での性の認知
子どもたちにとって、学校は一日の大半を過ごすところであり、安心を感じられる場であるべきです。ですが、規範的な性のあり方しか教えられなかった環境で、周りとの違いに苦しむ学生はたくさんいます。
性自認と戸籍上の性別が一致しないトランスジェンダーや、自分の体がしっくりこない人など、プライベートな部分を相談するのには勇気がいることです。
ルールがたくさんある学校で、相談しても対応してくれるかは別の話となり、結果我慢せざるを得ないという悪循環が生じる可能性もあります。
体育の授業では、更衣室でみんなと着替えることに不安があったり、プールの授業で水着など肌を露出することに抵抗があったりなど、さまざまな悩みが存在しますが、一人一人が安心して過ごすためには配慮が必要です。