20歳年上の夫と高1マイペース息子を持つアラフィフ主婦ライター、塩辛いか乃です。
子どもが幼稚園や小学校に入ると、保護者にとって切っても切れないのが「PTA」の存在。
わたしは幼稚園、小学校、中学校、高校、どのタイミングでもPTAの役員をそれぞれ1回ずつ経験してきました。
どのタイミングでも知り合いが全然いない状態からの入学だったので、知り合いをつくったり、学校や先生の雰囲気も早くわかるだろうということで、だいたいの年は入学1年目に立候補。
本部役員や代表になるとフルタイムばりのハードな仕事になるので、できるだけ下っ端を選んで積極的にやっていました。
最近は世の中共働きが主流になって、PTAの負担軽減を考えるところも増えてきたようだけれど、わたしがいつも肌で感じるのは、それでも依然として「母の奉仕活動」という文化はバッチリ残っているなぁと思います。
PTA、やっぱりめんどくさい
幼稚園のころは、自分自身も初めての集団生活デビューにドキドキで、役員仕事もゆるい保護者交流会の企画だったりと簡単だったし、なにより一緒に役員になったママさんも人柄がよくて楽しかった記憶ばかり。
見学自由な幼稚園だったこともあり、役員仕事と言いながら息子の教室を覗きに行くなんてことも多くて、あまり苦ではありませんでした。
PTA活動が「やっぱめんどくさいなぁ」と思い始めたのは、小学校の役員を経験したときだと記憶しています。
私立の幼稚園だったので、公立の小学校特有の「変化が嫌いな雰囲気」が特に際立ったのかもしれません。
とはいえ、右も左もわからない小学校生活。うえにお姉ちゃんやお兄ちゃんがいる先輩ママさんの話も聞いてみたいし、役員はやろうと決めていました。
そこでわたしは「役員の中では一番ラク」と聞いていた保健委員に立候補して、無事下っ端役員に。
一緒に役員になったママさんは、ラッキーなことにみんな「効率よくやろう」という方針の人たち。
集まる回数も最低限で済んだのでよかった方だとは思うのですが、それでも仕事の内容は「こんなことやって意味あるの?」なことがたくさん。
まず保健だより。保健室から発行されるおたよりとは違い、ニュース的なトピックを取り上げて保護者が発行する慣例らしいのですが、うえの子どもがいるママさんに聞いても、その保健だよりを誰も読んだ記憶がないと言います。
ぜんぜん読まれないことがわかっているのに作るのも虚しいですが、そこは立候補した仕事なので力を合わせて取り組みます。
わたしはこの保健だよりを見たことがなかったのですが、作ってみて読まれない理由がわかりました。
取り上げる題材は、保健の先生の一存で決まります。わたしの年は「保健委員の子どもたちのディスカッション」と「保健大会の報告」。
このふたつにもわたしたち保健委員が参加することになるのですが、どちらもなんとも微妙な会でした。
保健委員の子どもたちのディスカッションは、保健の先生が標語にしている「ケガ0(ゼロ)プロジェクト」を達成するために何をするかまじめに考えるイベント。
実はわたしはこの「ケガ0(ゼロ)プロジェクト」というのを聞いた時点で背筋が寒くなっていました。
プロジェクトの内容が「小さなケガさえゼロにしよう」という方針だったからです。
いまどきの子どもはケガをしないから大人になって転び方がわからず、手をつけないで顔から転んだりする子もいるそうで、小さなころに転んだり小さなケガをして学ぶことも大事と聞いていたので「ケガをゼロにする」目標自体に違和感を感じてしまいました。
だけど、小学生の子どもたちはみんな素直。保健の先生が掲げた「ケガ0(ゼロ)」を達成するために必死で考えます。
とある女子は「廊下を走っているのを見たら先生に報告して、点数制で休み時間に外で遊べないようにする」みたいな案を大真面目に出していてヒヤヒヤ。
真面目な小学生に水を差すわけにはいかないけれど、最後に感想を述べる際に我慢できず「大きなケガを防ぐには、小さなケガを経験して学ぶことも大事だと思います」と言ってしまいました。保健の先生の顔は固まってましたけど…。
教育って、まだ真っ白なキャンバスに色を入れていく作業で、子どもたちって簡単にそれを受け入れてしまう時期。だからこそ教育って「何を教えるか」も大事だよなぁ。
もうひとつの仕事は「保健の講演会のサクラ」の仕事。地域の大きなホールで開催される、ありがたい児童心理学だかの先生の講演会の空席を埋めるために各学校から5名ずつ参加するノルマがあるのだそうです。
座っていればいいので楽な仕事ではありますが、内容は正直さっぱり覚えていません。
育児についてなので、聞いてみたらおもしろいんじゃないかと期待しましたが、とにかく話が単調でつまらない。眠い。ていうか、ここにいるほとんどがサクラなのに、なんでこの会を開催するの?誰が聞きたいの?と疑問の嵐でした。
このふたつのイベントを特集する、おもしろくなる要素がひとつもない保健だよりを作るわけです。
ひとつだけ楽しかったのは、平成の世になっても、わたしの世代にあった印刷機があって、それをわら半紙に刷るという作業。35年経っても全く変わらない風景は懐かしくもあり、時代遅れ感もあり…。