20歳年上の夫とマイペース高1息子と暮らすアラフィフ主婦ライター、塩辛いか乃です。
みんな人のことをあれこれ言うけど、その立場に置かれてみないとわからない。そう思ったのは主婦になってから。
独身時代、仕事にやりがいを感じ、楽しくて仕方なかったわたし。「仕事ができる自分」に価値を感じ、お金を稼がないのなら価値がないとさえ思っていたんです。
この価値観は、結婚後のわたしをとても苦しめることになりました。
今回は、そんなわたしが主婦になり、育児しながら模索してきた仕事についてお話しします。
稼いでない。家事ができない。全然、自信が持てない…
いざ結婚するとなったら「専業主婦やってみたい」と思い、退職を決意。
古臭いのですが「寿退職」ってやつも経験してみたかったんですよね。夫のお金で左うちわ、悠々自適に暮らすマダムをイメージしていました。
だけど、そうは問屋が卸さない。夫はそれなりに稼いではいたけれど、お金には相当キッチリしていて倹約家。浪費家なわたしに家計を任せては大変だと思ったようで、夫が家計を管理し、わたしは生活費をもらうスタイルで結婚生活がスタートしました。
「これで1カ月やってね」と渡された生活費で頑張ろうと思っても、自分の稼ぎがないので自分の化粧品までこれで買うとあっという間になくなってしまう。
さらに家事もそもそも好きではなく、当初は張り切っていた家事もつまらない。別に掃除しても誰も褒めてくれないし。
家事はつまらないうえにできない、やる気も起きない。平日が暇になっても、会社の同僚はみんな仕事だから遊ぶ人もいない。欲しいものも好きに買えない。
家計や結婚相手にもよるでしょうが、わたしの場合はとても窮屈でした。
なので、「とりあえずパートでもしよう」と面接に行っているうちに妊娠。すぐにつわりも始まり、パートどころじゃないということでそのまま出産し、専業主婦として育児に突入しました。
最近はSNSで随分育児の辛さや大変さが認知されるようになったと思いますが、赤ちゃんとまる1日一緒にいるのって、嬉しいし幸せだし楽しいけど、疲れる。ずっとずっとずーっと子どもの世話なんです。当たり前だけど。
特にわたしは、誰かとおしゃべりしないとストレスが溜まるようです。
息子が乳児のころ、突如英検の勉強を始めて夫に驚かれましたが、あれは「誰かとコミュニケーションしたい」という欲望の表れだったのかなと思います。
2020年のコロナ禍でも、人と会うことが少なくなって、わたし急にスペイン語習い始めましたしね。人とのコミュニケーションに飢えるんです。
そんなわたしは「稼いでない自分」「家事ができない自分」と自分の価値観で自分を追い込んでしまい、ずっとモヤモヤしていました。
仕事をしていたときにはあれだけ自信満々だったのに、全然自信が持てない。自分の無価値観に焦った私は、何か少しでも仕事っぽいことができないかと模索を始めました。
子どもを見ながら、自宅で働く決意
いまでこそ、リモートワークは当たり前。なんでもチャットやメールでやり取りしたり、打ち合わせもオンラインでするようになりましたが、当時はまだ「SOHO(small office home office)」なんていう言葉があって、個人で請け負える仕事情報サイトもさほど整っていませんでした。
けれど小さな子どもがいながらでは、家を空けるのも難しい。せっかく一緒にいられるのだから、わざわざ預けてまで働くのも違う。
なので、SOHO向けの募集サイトなんかを見て自分でできそうなことを探しました。
当時から、記事執筆の募集などは多くありましたが、条件が悪すぎて…。もっと高単価の案件はないかと探したところ「TOEICの点数をアップする記事を自由に企画して書く仕事」というのが目に留まりました。
類似の仕事と比較すると、かなり高単価。英語が得意だったので、わたしにもできそう。そう思って応募。
するとすぐに雇い主の方から返信があり、「できれば会って話したい」と言います。
少し怖かったのですが、人が多いところならと横浜で待ち合わせて会うことにしました。
現れたのは、ホームページ運営の会社を経営している方。直接面談の理由は、「みんなすぐ辞めちゃうから」だそうです。
やっぱり顔が見えないと、納品日にも連絡がなかったり、「突然辞めます」と連絡がくることがとても多いらしいので、どんな人か見てからお願いするようにしているとのことでした。
わたしはありがたいことに採用。久しぶりに自分の能力を使えると張り切っていました。
…が、やはり慣れない作業は時間がかかり、息子の世話をしながらでは終わらない。仕方なく、近くに住む母にヘルプ要請し、仕事中は息子の面倒を見てもらっていました。
家にいることはできても、子どもを見ながらだと集中できないので、全く仕事が進まないんですよね。
せっかく任せてもらった仕事をなんとか頑張ろうとやりましたが、比較的高単価だと思っても、やはり収入にはあまりつながりません。
定期的な打ち合わせで「もっと稼ぎたいけど時間がない」という話をすると、雇い主の方は「だったらサイトを自分で作ったら?時間はかかるけどコツコツやれば確実に稼げるよ」と言われました。
わたしは根性がありそうなので仕事をやってくれてる代わりに無料で教えるからやってみたら、と。
たぶん先方は恩を売ることで仕事を投げないようにしたかったのもあると思いますが、わたしにとってはありがたい話。やってみたいと言うと、1から丁寧に教えてくれました。
サイト制作はしたことがないので、四苦八苦。息子が寝た後、深夜までかかって作成。そこから3〜4カ月毎日記事をあげ…Googleの厳しい基準を突破し、ようやく稼ぐ環境が整いました。
でも、ここからがスタート。また地道にコツコツ役に立つ記事を更新していきます。
最初に受けた英語の記事作成もなかなか時間がかかりましたし、さらに自分の記事も書かなければいけない。母にヘルプ要請をする日が増えていきました。
家事にも手が回らず、育児と仕事でグッタリ。夫はずっとサラリーマン人生なので、こういうチマチマした請負の仕事に理解がなく「そんなことするなら働きに出ればいいのに」などと言っていました。
理解されないのがとても悲しかったですが、それでも「やるしかない」と、自分のサイトも依頼された仕事も頑張りました。
1年ほど経ったある日、収入が増え始めて。そこからあれよあれよという間に、月3万円ほど稼げるようになりました。
やっと日の目を見てとても嬉しかったのですが…ふと我に返りました。
ここまでにかけた月日は約1年。そして、これからも更新し続けなければなりません。
「時給換算すると、いったいいくらになるんだろう?」と考えたら、なんだか疲れてやる気が一気に失せてしまいました。
かけた時間を考えると、たぶん時給に換算したら10円にもならないと思います(笑)。
それでも、一応お小遣いが稼げるサイトを自分で作ったことは自信になりました。
すり減るだけで活力にはならない。そう思って、ほかに何かできることがないか探し始めたのです。【次回につづく】
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