20歳年上の夫と高校1年生のマイペース息子と暮らしている、アラフィフ主婦ライター・塩辛いか乃です。
出産。それは人生の一大イベント。
「せっかく女性に生まれたんだもん、子どもを産むって経験はしてみたいぜ」と思っていましたが、生来ビビりなわたしは小さいころから出産が怖くて怖くて仕方がありませんでした。
だって、鼻からスイカが出てくる痛みっていうじゃないですか。それってめちゃくちゃ怖くないですか?
ネガティブな想像力だけは豊かなので、小学生のころから「子どもは生むかもしれないけど、出産はまじ怖い。鼻からスイカ出すくらいなら、麻酔して切って出せばいいじゃん」なんて思っていたら、実際の出産がなんと予定外の帝王切開となりました。
今回は、そんなわたしの出産体験についてお話しします。
出産が怖い!
妊娠がわかったとき、そりゃあなんか不思議な気分でしたよ。
え、自分のお腹の中に人間がいるですって?しかも超音波越しでしか見えず、自分の子どもなのに出てくるまで顔もわからない。
最近は高性能な超音波のおかげで人の形をしているのはわかるけど、なんかとてつもない生命体を飼っているようですごく変な気分でした。
妊娠初期はつわりがひどかったので、もうそれを乗り越えるので必死。妊娠中は鼻がよくなるというのは本当で、もともと鼻がよいわたしは犬レベルまで到達していたような気がします。
そしてつわりの間、魚系のニオイが全部だめになり、かつおだし風味の味噌汁でさえ無理に。
夫は親切に「寝てていいよ」と言ってくれ、それはとてもありがたいのですが、魚が大好物の夫は自分が大好きな焼き魚をウキウキと焼いている様子。
機密性の高いマンション住まいの我が家、寝室に香ばしい焼き魚の香りが漂ってきます。
つわりで気持ち悪くて食欲もないわたしを魚の香りが容赦なく襲います。特ににおいの強い青魚、ニシンを焼いたときには苦しくて悶絶しました。
魚のにおいがダメだって言ってるけど、わたしの鼻がここまで敏感になっているとか、ここまで魚のにおいがだめとは気づかないのだろうと思うと言いにくくて、ひとりベッドで悶絶していました。
そんなつわりの時期を抜け、安定期に。ぐにゅっとお腹のなかが動き、胎動があったときに「やば、まじで人間入ってる!」とびっくり。
いや、人間かどうかも出てくるまでわからない…とか半信半疑になってみたり、お腹のなかに住んでいるのが実は人間ではなくエイリアンで、突如わたしの腹を破って出てきたらどうしよう…などとあれこれ考えたりしていました。
いや、エイリアンの発想ってホント、妊娠してみるとわかります。お腹のなかに生き物がいるって変な妄想しちゃいますよ。ってそんなこと思っているのはわたしだけ?
もちろん子どもに会いたいとかそういうことも思ってましたが、自分が何も努力をしなくても、勝手にわたしのなかで人間が育つということに、人体の不思議とか神秘みたいなものをずっと感じていたような気がします。
そうこうするうちにズンズン大きくなるお腹。小学生時代からビビり続けていた出産がどんどん近づいてきます。
妊娠してお腹のなかで大きくなった子どもを、どうにかして出さねばならぬ。「鼻からスイカ」のXデーが近づいてくると思うと、なんだか心配で仕方がない。
陣痛だってみんな雄たけびをあげるくらい痛いんでしょ、痛みに弱いわたしは雄たけびで済むかもわからないし、怖すぎる。
だからといって無痛分娩も当時はメジャーではなく、ペーパードライバーで車を運転できなかったわたしが通える病院はそんなことをしていない。
ということで、普通の産婦人科にお世話になることになっていました。
あまりに鼻からスイカが怖すぎる。だけど帝王切開も理由がなければ行わないし、そもそも帝王切開だってお腹を切るのだから怖い。
というか帝王切開のときの下半身麻酔を脊椎にするらしいんですが、それがまためちゃくちゃ痛いと聞いて、もう痛いのが何から何まで嫌いなわたしには恐怖しかなく…。
子どもが生まれるワクワク感と、まじでどうやって出すんだこれ、という気持ちの間で揺れていました。