大人で知的なイギリス人女性に恋した20代の春
メ:リサはラオス人とイギリス人のハーフで、私より2つ年上。同じ学校の大学院に所属してました。透き通るような肌でつややかなブラウンの長い髪と瞳、すらっとした華奢な体型の彼女はとても美しくて、知的で落ち着いた印象を受けました。
メ:典型的なクール美女というか…イースターで浮かれているイギリス人たちの中で、グッと大人に見えたんです。周りの学生たちは、毎夜クラブへ繰り出して大騒ぎします。いつもは真面目で勉強ばかりしている子も、イースターの期間は片方のヒールが無くなっても踊り続けるみたいな浮かれ具合で、これがほぼ毎日続きます。そんな友人たちのなかでも大人びたリサは一際目をひく存在で、私は生まれて初めての一目惚れしてしまったんです。
赤:確かに学生のころって、センパイとか周りより落ち着いている人に惹かれますもんね。そういえばそのころのメグミさんは、お付き合いしている人はいなかったんですか?
メ:当時、私は同じ留学生の、台湾人男性とお付き合いしていたんです。でも彼女に一目惚れしてしまったので、このままでは彼に失礼だと思って、リサと出会ってすぐ後に別れることにしました。
赤:ちなみに、それまで女性とお付き合いしたことはありましたか?
メ:女性と付き合うのは、実は初めてでした。いままで女性に対して「好きかもしれない」くらいの恋愛感情を持つことはあったので、自分はバイセクシャルだとは思っていましたが、親密な関係になったことはまだありませんでした。といっても、実際に周りにゲイやレズビアン、バイセクシャルの友だちもいたので、同性に対して抵抗は特にありませんでした。
人生初の一目惚れ。でも彼女には、すでに「ガールフレンド」がいた
赤:リサさんとはすぐに付き合うことになりましたか?
メ:いえ、実はリサにも当時付き合っている女性がいました。なので私たちは最初、友だちからスタートしました。とはいっても、私は一目惚れでリサのことが好きでしたから、デートといってもいいですね。
赤:日本と違って欧米では告白する文化がないとよく聞きます。
メ:そうですね。流れといってはアレですが、お互いの気持ちを確かめ合う期間があるので、そこで見極めるって感じです。ちなみに、私たちは最初のデートでは美術館に行きました。たしかゴッホのひまわりが収蔵されているナショナル・ギャラリーでしたね。
メ:ロンドンというか、イギリスのほとんどの美術館は無料で入ることができるんですよ。
赤:え?入館料もなく、無料?
メ:国民の権利として階級関係なく、みな平等に楽しむべきという考えのもと、イギリスの美術館や博物館は特別な展覧会以外は基本的に無料となっているみたいです。だから有名な大英博物館(British Museum)も無料ですよ。
赤:ドイツは月1回だけ無料で入場できる日があったのでその日を狙って行ってましたが、毎日無料ってスゴいですね。
メ:かなりお金の節約になりますし、美術館は定番のデートスポットです。特にリサは私の知らないアートにも詳しくて、知識がとても豊富でした。さまざまなアートに対して造詣が深い彼女と接しているうちに、だんだん「好き」という気持ちだけじゃなく「尊敬」も多く感じるようになり、より一層惹かれていったんです。
赤:とても魅力的な方ですね。アートに詳しい人と美術館デートしてみたい…!
メ:それからも、色々な美術館や博物館に出かけました。そうやって何度かデートを重ねているうちにイースター休暇が終わり、ついに3学期が始まりました。
赤:あれ?日本の大学は春から前期が始まりますが、春に3学期が始まるんですか?
メ:イギリスは9月から1学期が始まり、秋・春・夏の3学期制になっています。なので春は3学期のスタートなんですよ。
赤:日本では春=入学式のイメージだったので、なんだか不思議な感じです。