「あ」「う」「お」に濁点をつけて使う
犬たちの声(音)を注意深く、動画でみたり聞いたり、それを考えたり、想像したりしたことはありますか?
私は、「犬を知りたい」と飢えていたとき、とにかく犬の様子をただ観察しました。犬の体もそうですし、犬の出す言葉(音)を、とにかく聞いて、見て、考えました。本とか、教科書なんて読んでおりません。犬を毎日、穴が開くほど観察しておりました。
ドッグランにいる犬、仕事場に来た犬、保護犬、逃げる犬、向かってくる犬、散歩中の犬、獣医でパニックになる犬、とにかくいろんな場面で犬の出す(音)を注意深く観察しました。
そこで、犬もオオカミも、母音を強く発することに気がつきました。犬の鳴き声、日本では「ワンワン」です。そして世界ではまた違います。
たとえば、アメリカでは「バウワウ」、韓国では「モンモン」、ドイツでは「ワウワウ」、フランスでは「ワフワフ」、スペイン語では「グアウグアウ」、ロシア語ではガフガフ、中国語では「ウーウー」、ポルトガル語では「アウアウ」…
言語の違う人たちが聞いても、犬の吠える声っていうのは、「母音」を強く発していることがほとんど。「あ」「い」「う」「え」「お」が母音です。
人間は自分の意思を相手に伝えるときに、「音」を使うのではなく「言葉」を使いますよね。犬は「音」を使うんです。いわれてみると、腑に落ちますでしょ?
犬が相手を威嚇するとき「ヴ~」ですし、もっと主張を強くすれば「ア”~」ですし、「オ”~」とかもそうですよね?「あ」「う」「お」に、私は気づいたわけです。
どれも濁音が付きますが、犬の主張(怒りや警戒)にはこれらの音を濁音つけて使います。「い」や「え」という母音は、「主張」には使われません。
犬の口も人の口も、口の開き方、つまり息の出し方で音が変りますよね?「い」と「え」の音に限っては、のどの奥から出る音ではなく、のどからでた息を唇を横に開いて、潰して出す発音です。「い」も「え」も、口角が上がります。これらは「あ」「う」「お」に比べると、音が高くなります。
「い」や「え」は、犬がどういうときに出すのか。考えたり観察したりしたことありますか?「い」も「え」も、人間でいうと悲鳴に近い音です。
「え~」って、人間だって使います。それは、どんなときでしょうか。驚いたりするときですよね。「い」も、結構ビビったときに使いんじゃないですかね。「ひえ~」とかもそうですし、「い~」って悔しいとき。犬も同じだなって、気づきました。
キンキンした音って、弱音な音なんですよ。「い~」も「ひえ~」も、「え~」も、何か勝負に勝ったときに出る音ではありません。「負け音」です。そう考えると、犬に自分の意思を伝えるときに、言葉は要らないんだから「音」でコミュニケーションを取るべきなんです。