こんにちは、椎名トキです。僕はアラサーのセクシャルマイノリティ。身体の性は女性ですが、心の性は定めていません。現在は女性のパートナーと一緒に暮らしています。
こうしてコラムやエッセイを書かせていただいておりますが、普段は一般企業に勤めています。現在勤めている会社は2社目で、就職活動もそれぞれ新卒時と転職時に2回経験しています。
きょうは僕の就職活動についてと、入社して困ったことなどをお話しましょう。最後までお付き合いいただけたら嬉しいです。
カムアウトできるわけがない
先に書いたとおり、僕は2回就職活動を経験しました。2012年卒の新卒時と、翌年2013年の転職時です。どちらももう10年近く前の出来事なので、最新の就活情報ではないことをご了承願います。
2回の転職活動時に共通しているのは、会社にカムアウトをするという考えが僕になかったことです。理由はとてもシンプルで、当時はまだLGBT向けの就活情報に触れる機会がなかったんです。いまは専門の求人サイトがあったり、特集ページが組まれていたりしますね。
ただ2021年現在でさえ、LGBT向けの求人情報をのぞいて見ると、まだまだ掲載量は大手就活情報サイトに比べて少ないなぁと感じます。もしかしたら当時もよく探せばあったのかもしれませんが、目に見えるところに情報のフックがないと深堀りすることはなかなか難しいのではないでしょうか。
情報がないということが、LGBTであることを会社にカムアウトをする行為自体が企業にとっては想定されていない、ありえないことなんだなと思うきっかけになりました。
また、会社という仕事をする「公の場」でカムアウトをすれば、自分は必ずいじめや差別といった不当な扱いを受けるのではないかとも強く思っていました。
いまでこそ休日の普段着や仕事着でも大好きなメンズファッションを楽しんでいますが、就職活動時はレディースのリクルートスーツに身を包み、パンプスを履いていたのです。
抵抗感の有無、という以前に「LGBT当事者であることがバレないように」と思って着ていたところがあったなと、振り返ってみて感じます。
入社して困ったこと
そうして就職活動をして入った企業は、2社ともLGBTについての理解の有無を表明していない、よくある一般企業でした。1社目は社風が合わず1年で退職してしまったので省略しますが、2社目は今年で丸8年勤めています。
その8年の間にカムアウトしなかったことで困ったり、心配になったことがいくつかあるので、特に心に残っているものを3つ紹介しましょう。