これを読んでいるあなたへ
僕のように就職活動時にカムアウトすることが考えられなかった人や、希望する地域にLGBT向けの求人情報がないもしくは情報が乏しくカムアウトをして働く道を選ぶことができない人が、日本には数えきれないほど存在しています。
もしこの記事を読んでいるなかに、企業で採用や総務、従業員の管理関係に携わっているかたがいたらお願いです。あなたの勤める企業がLGBTなどセクシャルマイノリティを受け入れていきたいと思うのであれば、専門の求人サイトへの出稿でなくても、たとえば企業のホームページで自社の取り組みのひとつとして、LGBTに関する項目を数行でも加えてほしい。
近年、企業の規模を問わずLGBTを題材にした研修を行う企業も少しずつ増えています。そういった研修の有無などを明らかにし、就活生や求職者に見えるフックを作ってほしいのです。
「うちの会社はまだまだセクシャルマイノリティへの対応はできていない」と思うかたもいるでしょう。対応できていないと感じる理由に、社内に当事者がいるかわからない、需要が可視化されていないから重要度を上げられないということはありませんか?
需要を可視化するにはカムアウトが必要。当事者がいるのであればカムアウトをして、需要があると教えてほしいと思うでしょう。自分が当事者ではないと、わからないことが多いのは当たり前で、教えてほしいと思うのは自然なことです。
しかし現状でカムアウトをしている社員がいないのであれば、それはあなたの会社が「カムアウトをしにくい環境」になってしまっているということかもしれません。
一番の近道は従業員である当事者が自らカムアウトをし、需要があるのだと手をあげることだと思います。これはとても勇気がいることで、僕も社内ではまだ公にカムアウトをする勇気がありません。
LGBTの存在を社会に訴え続けてきた先人の当事者のかたがたのように、今後勤め先に入社してくるかもしれない当事者や、いまいるかもしれない可視化されていない当事者のためにカムアウトをすることができたらどんなにいいだろうと、何度も考えました。
カムアウトをすれば、困りごとはなくなるかもしれない。しかしそれ以上に拒絶されてしまうのでないかという怖さ、不安が勝ってしまいます。現状では勤め先へのカムアウトはとてもハードルが高く、難しい状態です。
このようにこの問題は企業にとって可視化されないうえに、昨今企業に求められる「働きがい」や「EX(Employee Experience/従業員の体験)」にも大きく関わる問題です。
だからこそ社員のなかに当事者がいると仮定して、取り組み、働きかけてほしいのです。たとえ需要が可視化されなくても、ちいさくてもいい。一歩一歩、取り組みをはじめ、続けていってほしいと願います。
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