こんにちは。韓国在住3年目、日本語教師でライターのHAZUKIです。
2021年7月3日、午前10時半頃に静岡県熱海市の伊豆山地区で起きた大規模な土砂崩れのニュースは、こちら韓国でも報道されています。
当日、私は授業を行っていたのですが、何人かの生徒から届いた「先生の家族や知り合いは大丈夫ですか?」「心配です」というメッセージで、初めてこの災害が起きたことを知りました。未だ行方不明者がいる(2021年7月7日時点)とのことで、とても胸が痛みます。一刻も早い救助、復興をお祈りいたします。
韓国人が日本の地震を恐れているわけ
日本で暮らしていると避けて通ることはできない自然災害。日本は、温泉など自然の恩恵も多く受けている一方、地理的に地震、津波などの自然災害も多い国です。
災害の多い環境下で暮らす日本人は自然災害についてどう思っているのだろう?と考える韓国人はとても多いようで、日本語教室の生徒からも度々、自然災害についての質問を投げかけられます。
仕事で1年日本に滞在した生徒の、「韓国人は日本の地震を恐れ、日本人は韓国の北にある北朝鮮を恐れている」という言葉はとても印象に残っています。
きょうは、韓国人がなぜ日本の地震を恐れているのかについて、日本語教師の視点からご紹介します。
経験したことがないからこその恐怖
韓国は日本に比べて地震が少ない国です。中央日報は、「韓半島(朝鮮半島)ではマグニチュード(M)6.5以上の大型地震が起きる可能性はありません。地震が起きるような環境にはないからです」という、韓国地質資源研究院のチ・ホンチョル地震研究センター長の見解を伝えています。
同センター長によると、「韓半島には大地震が起きるほどの応力(土地に作用する力)が蓄積されない」「韓半島に応力が蓄積してもこれを放出するような長い断層があるべきだが、(韓半島には)このような地形がない」という2つの理由により、韓国では大型地震が起きないのだそうです。
しかし、韓国でも地震が起きることはあります。韓国で起きた地震といえば、2017年11月に発生した「浦項(ポハン)地震」が思い出されます。マグニチュード(M)5.4、韓国観測史上2番目の大地震でしたが、これは自然地震ではなく近隣の地熱発電所が触発したものだったようです(参考:聯合ニュース)
韓国では、地理的な条件もあり、ほとんどの人が地震を体験したことがありません。そのため、日本への渡航前には地震を心配されるかたが多くいます。生徒が日本の大学に進学する際、塾講師が親御さんと面談をすることもあるのですが、やはり「留学中に地震に遭ってしまったらどうしよう…」と不安に思われています。
日本人である私たちは、小さな地震には慣れてしまっているところがありますが、韓国人は小さな地震すら経験したことがないため、度々発生している小さな地震ですら、とても恐ろしいことのように感じてしまうようです。
備えがないからこその恐怖
日本は災害が多い国ゆえに、小さいころから防災訓練を行い、地震が起きたときのシミュレーションができています。日本で家を購入する際には、ハザードマップと照らし合わせて場所を考える人、また自宅に防災バック、防災グッズがあるという家庭も多いです。私の育った神戸は、特に防災意識が高い地域でした。
しかし韓国では自然災害に対するそのような訓練は行いません。日本の義務教育で行われている水泳の授業も、韓国では2014年のセウォル号沈没事故以後に導入されたばかりです。ただ、これも小学校3・4年の児童に対し、年に2時間ずつ計2回(年間4時間)プールで教育するというもので、十分ではないという声もあります(参考:中央日報)。
韓国国内で過ごす分には大丈夫でも、いざ日本に来たときに、まわりの日本人は災害に対してある程度の心得があるのに、自分だけないのは心配だと考える人もいます。
日本の大学や日本語学校では、外国人に対して防災教育を行ったりもするようですが、旅行やワーキングホリデーの場合はそのようなものがないので、日本に行きたいけれど躊躇してしまう…という人もいるようです。
韓国と日本の災害、防災意識の差についてご紹介しました。小さいころから防災教育を受けてきた日本人とはいえ、災害はやはり恐ろしいものです。熱海市で被災された方々の一刻もはやい救助を祈流とともに、いま一度、防災の心得を見直したいものですね。
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