彼女の要望を受け入れる“優しい”彼
そんな狭き門をくぐり抜けた王子が登場!好きな音楽や時間の過ごし方が一緒だった上に、その彼は一般企業に勤めながらインディーズバンドにも所属している人だった。彼女的には「彼がいるの、すごいセンスいいバンド!」とのこと。
そんなふたりは自然と惹かれあいマッチング。もちろんメッセージも続く続く。違和感なく初めての対面を果たし、そしてデート。数回のデートの後、彼から告白して、あっさりお付き合いすることに。
シフト制の仕事である彼女と、土日休み仕事の彼は、できるだけ休みを合わせて、月に数回会ってお互いの家でお泊まりするような生活を1年ほど続けた。
ふたりとも都内在住だったが、彼女はもともと「次に住むのは海が近い場所と決めている」とまわりにも公言していたため、そのうちに、どちらかの家の次の更新のタイミングで一緒に住もうか、という話になっていた。住む場所に特にこだわりがなく、彼女の希望を叶えてあげたい優しい彼は、「いいよ、彩乃の好きなところに引っ越しをしよう」と言ってくれたという。
ほやほやなのにシてくれない…!
そこから半年後、順調に物件も見つかり、晴れて引っ越すことに。それは、ちょうどコロナ禍になる手前くらいのことだった。引っ越しを終え、同棲が始まって1カ月ほど経ったころ、筆者は彼女に、「新しい場所や新居、生活ぶりはどう?」と尋ねた。
「東京と違って、外に人も少ないし、密になりにくいから安心だよ〜。何より空気が気持ちいい!彼は本当に優しくて、なんでも私の意見でいいよって言ってくれるし、出かけるのが好きな私がひとりでどこかに行ってても、何も言わず好きなようにさせてくれるからありがたいよ〜」と明るい返事が返って来た。
このころはまだ、のろけなんかもさらっとかましてくれていた。大人になってからの付き合いだし、お互い自由にできるくらいのユルさ加減がいいよね〜なんて筆者も思っていた。
しかし、その2カ月後くらいから、彼女の口からさまざまな愚痴が増えていった。そして彼女はこう言い放った。
「ねえ、最近シてる?いつシた?私、全然してないんだけど!」
あれ、まだ一緒に住んで数カ月だよね…と正直思ったので、筆者はそのままそれを口にしてみた。
すると彼女は、「そうだよ。一緒に住んでほやほやだよ!まだ数カ月だよ。やっと一緒に住めることになったのに、新しい家に来て、まだ1回しかシてないんだよ!?」と叫んだのだ。