少し違う、職人の世界
ですが、技術職となると少し違ってきますよね。
ケーキ職人、すし職人、板前など、何かを作ること、腕一本で生きていく職業に就く人たちには、日本独特の悪しき習慣がいまだに残っているように感じます。
一人前のすし職人になるには「飯炊き3年握り8年」という言葉があるくらい。
こういう技術職に就く人は、仕事を修行だと考える人が多いでしょう。教えてもらっている以上、多少の不条理は当たり前と我慢してしまう。
先輩が多くいるなかで、技術を磨けど評価はされず、椅子取りゲームのごとく、先輩が一人前になって座を開けてくれなければ、自分が座る椅子はない。
先輩を飛び越える飛び級など、もってのほか。結果的に、職人技を身に着け、評価されるまでは、自分の努力しかないという世界。
そして、「努力が足りないからこそ評価を得られない」と勘違いしてしまい、もっと頑張らなければと自分をすり減らす。そういう業界にいるのだからしょうがないと諦める。
修行なんだから、残業代など出なくてもしょうがない。一人前になるためには、何事も我慢。
雇い主が残業をさせないように、法律に基づいて働き方を改善したところで、雇われている人がこういう意識である以上、本質は変わりません。
また、雇い主側も「嫌ならやめろ」「俺の時代もそうだった」「教えてやっているんだから文句言うな」が当たり前になっている可能性もありますね。