Case2.ダブル不倫の慰謝料
「人の家庭をめちゃくちゃにして…やり逃げなんて許せません!」と憤るのは瑞穂さん(48歳)。
当時、夫の職場は感染対策として電車より車通勤を推奨。そこで昨年5月、瑞穂さん夫婦は新車を購入しました。
そんな矢先、夫のスマホから「不倫では?」と疑わしいメッセージを発見。そこで瑞穂さんは興信所へ依頼し、車にGPSを設置。そして、駐車したホテルのフロントで待ち伏せし、夫が女性を連れて入室し3時間後に車へ戻る写真を入手しました。
夫いわく、彼女はヨガ教室の先生で自宅マンションで教室を開いているとのこと。瑞穂さんがヨガ教室に乗り込むと、彼女は「払えるなら払いたいわ!」と開き直り。
というのも、新型コロナウイルスの影響で、ヨガ教室は休止中。慰謝料を用立てるのは無理な状況でした。
「ないところから取れないのはわかっています。でも、指をくわえているのも悔しい!」と瑞穂さんは唇を噛みますが、不倫の慰謝料は関係を知ってから3年で時効(724条)。ヨガ教室の再開はいつになるか分かりません。
慰謝料の存在を認めさせれば、時効は3年間延長!
そんな瑞穂さんを救ったのが、今回の法改正。相手方が慰謝料の支払を承諾すれば、時効が振り出しに戻ることが認められています(152条)。
今回の場合、次回の時効は承諾から3年後へ延長されるという意味。
浮気した彼女は「YouTubeで自己啓発をやって稼ぐ」と強気ですが、慰謝料を払う意思があるので、これは「承諾」を意味します。
これで瑞穂さんは女性が慰謝料を払えるだけの収入を得るまで、気長に待つ権利を手に入れたのです。