女性が働きづらいといわれる国、日本。私たちは日々それを実感し、嘆き、そして誰かの呟きを目にしている。
女性の社会進出がこれだけ進んでいるのに、女性が働くことにおいての不満は消えることはなく、ましてや小さくなることもない。
これは、私たちの実感に留まることなく、世界から見ても日本は「女性が働きにくい国」の代表国のひとつとなってしまっているようだ。
英誌エコノミストにおいて、2021年の先進国を中心とした世界主要29カ国の女性の働きやすさを示したランキングで、日本はワースト2位であると報じられた。(参考:朝日新聞)
管理職において女性が占める割合や女性の労働参加率、男女の賃金格差など10の指標に基づいたこのランキングで管理職や衆議院議員における女性の割合は最低であり、「女性が仕事と家庭を選ばなければならない」という状況を指摘された結果となった。
かつて「女性が働きやすい世の中にしてやる!」と意気込んでいた時期があった筆者は、社会を変えるという大層なことはできず、自分の仕事や働き方を変えるという結果になった。
これに後悔はないし満足してはいるが、いつまでも女性が働きにくい国に迎合し、生き抜く術を駆使するしかないなんて真っ平御免だ!という歯痒い思いを抱いている。
今回は、女性が働きやすい世の中とは何かを紐解き、そのためにはどうしたらいいのかを考えていきたい。
日本の「女性が働きやすい世の中」で働けるのは「男性に合わせられる女性」
さかのぼること4年前の私は、「女性が働きやすい世の中を作る」ために自分自身がその指標になりたかった。
バリバリ働き、いいタイミングで希望があれば結婚し出産をする。子育てをしながら働き、子どもやパートナーに頼ることなく自分自身の人生を謳歌し、そんな働き方ができるシステムのある会社を作ろう!そう思っていた。
その考えは少し鋭利なものになっていて、結婚や出産でキャリアを諦める女性を軽蔑していた面もあった。
男性と同じように働いて、女性であることも楽しめばいい!「仕事も女も楽しみたい」そんなセリフがあったようななかったような。22歳の私は、働く女性のステレオタイプな側面しか見えていなかったのだ。
現実はどうであったか。社会でバリバリ働く女性になれず、打ちのめされた。なぜなら私は、働きながら女性の身体で女性ならではの人生のイベントをこなすということを「男性が作った社会」で行おうとしていたからだった。
朝から晩まで仕事のことだけを考えて、ことある仕事の節目で成功体験を得て、キャリアアップをする。ここに、月に一度の生理も結婚も出産も含まれていないことを22歳の私は理解していなかった。
生理痛で身体が重くても、いつも通り仕事をこなさなければならない。だって仕事の納期に「生理遅延」は含まれていないから。
結婚するタイミングで一旦仕事を離れたら、同じキャリアではいられない。だって男性は「結婚による一時離職」なんてしないから。
産休明けに会社の同じポジションで働くことなんてできない。だって「妊娠出産がない男性は女性が休んでいる間に仕事を進めていて、かつ子どもがいながらの時短勤務でこなせるような仕事量で与えられるポジションではない」から。
私が理想としたバリバリ働く女性は、“女性なのに”社会で男性と同じように働く人のことだったのだ。
男性が働き、女性が家を守るという常識のなかできあがった社会のまま、女性が社会進出をした。
日本という国では、「働きたいならいいよ。でも、こちらのルールを変える気はないからね〜」と女性としての物理的な性質を考えずに、男性が作った社会の働き方があるなかで “働く女性”を増やそうとした社会があったのだった。
それを確実に理解せずに、「バリバリ働く女性」であろうとした私は、自分の身を粉にして働くしかないのだと腹をくくり、仕事をした結果体調を壊したのだった。
そもそも現在の日本における男性が作った“仕事をする社会”の定義を変えずに、女性が働きやすい世の中にするなんて不可能なのだ。
ジェンダー平等のために女性の管理職を増やしたり、賃金をあげたり、産休育休取得を許可したりすることをどんなに進めたとしても、“社会における労働の内容が男性仕様に合わせられる女性”しか平等に扱わないということになってしまうのではないだろうか。