こんにちは。垣屋美智子です。現在私はスタートアップ企業の財務・経営支援をするほか、「誰でも今すぐできる」をテーマにマネー、ライフ、キャリアについて執筆、講演活動を行っています。
今回は、「実際に海外に行く準備はしなくてよいか」「子どもを留学させてその国で働く選択肢を持たせるというのはどうか」「海外移住しやすい職業は?」「どの国に住むのがお勧めか」という海外移住についての質問にお答えしました。
読者からの質問1:海外に住む準備はしないでよいでしょうか?
ご質問いただき、ありがとうございます。
海外に住む準備ですが、実際にしてもよいと思いますが、海外移住するのに必要なビザの条件は国ごとに違いますし、海外に住む前に経済的にも情報的にも海外を身近にしておくことがまずは必要です。
ただ、もういますぐにでも海外移住するというのを考えるのであれば、海外移住の準備に大事なビザをどう取得するかという準備が必要になるでしょう。
勤務している会社がビザを出してくれたからと言って、その会社を退職したらビザは失効しますし、永住を前提に考えたときのビザ取得が必要です。
私の知り合いのなかには、永住権取得をしてくれる会社に転職して、永住権を取得をした人も複数名います。永住権が取得できてしまえば、退職も可能ということで、これも一つの方法です。
ただ、やはり「永住権を取得してあげてでも雇いたい」と企業側が思うような競争率の高い職業だったり、高給な職業である必要があり、私の知り合いの場合は、米国弁護士やITエンジニアの方たちでした。
ほかには国際結婚で永住権取得も可能ですが、たまたま結婚した相手が外国人というのではなく、「永住権のため」に結婚するというのは、一般的に考えると、世界でも優秀と言われるパスポートを持つ日本人がするには、覚悟という意味でのハードルが高いでしょう。
また、将来のためにいまから永住権を所得しておこうと考えているとしたら、それもあまりおすすめしません。というのは、永住権というのは取得できたとしても、維持も大変だからです。
アメリカの永住権であるグリーンカードを持っている友人は、年1~2回の渡米を行う必要があり、「休みのたびにアメリカしか行けない。たまにはアジアリゾートやヨーロッパ旅行もしたい」と言って嘆いています。さらに、コロナ禍でも渡米するのは例外ではなく、何度も隔離生活を強いられていました。
また、香港の永住権を持っている幼馴染はもっと大変で、香港は中国のゼロコロナ政策の影響で昨年時点では、3週間の隔離が必要でした。
そのため、永住権維持のために3週間の香港での隔離生活を行うべきか、そもそも永住権を取得したころの香港とはもう違うので必要ないのではないかなど、永住権をあきらめるという話をしていました。
このように、「将来のために永住権を頑張って取得したとしてもコロナやその国の状況が変わってしまうというケース」もありますよね。
そういうわけで、私も色々考えたなかで、職も確保でき、移住する理由としても正当なのは、住むことを前提にするというより、仕事で永住権を取得できるかどうかだと思います(読者の方にご自身の会社で海外事業を始めるので、それでビザ発行と移住をセットにするという方もいらっしゃいました)。
私の場合も、代表を務めるベンチャーキャピタルを通して投資家ビザを発行できる国もありますので、そういう形で投資している先の国に投資家として移住するというのは念頭にあります。ただ、前もってそういうのを狙って投資するわけでもないですし、あくまでそういうオプションがあるなぁくらいです。
結論として、将来起こりうる有事に備えて海外居住地を準備しておくというのであれば、コストや時間や心配対比が見合わない気がします。
海外移住は職ありきで、その国で経済基盤を築くことを前提にしておくべきと考えます。そしてそのためにも、まずは日本に居ながらも海外に経済基盤を移す対策をしていくのがよいと思っています。