ふっとラクになった4つの理由
ひとつ、本当にシンプルに「お互い歳をとった」というのがあるのかなと思います。
自分のこだわりや考えを押し通すのも、かなりエネルギーが必要です。純粋にその体力がなくなりました。怒るのも体力が必要なんですよね。
さらに、年齢が上がってくると「こんないがみあっている時間がもったいない」とか思ってしまうんです。
人生の後半に差し掛かっていると、怒ってばかりの人生なんて嫌。自分のご機嫌な時間が長ければ長いほど、幸せな人生だったと言える気がするんですよね。
夫が同じことを考えているかはわかりませんが、お互いに激しくぶつかりあって「角が取れた」状態なのかなと思います。
2つめは、「お互いがお互いを諦めた」こと。
生き方の方向性が真逆なので、どうやってもわかり合えない。こんなにベクトルが違う人と生きていく意味があるのかなとずっと悩んでいました。
だけどそれって、自分と同じ方を向いていないといけない、向かせないといけないと思っていたからなのかもしれません。
諦めるって「負け」だと思っていたけれど、諦めることこそが相手を認めるってことなのかなと。
「ああいう人だからしょーがない」とお互いが認めてしまうと、意外といざこざって起きなくなるものなんですね。本当に不思議です。
3つめは「子どもが大きくなってきた」こと。
やはり小さいころは夫婦ゲンカを見せたくなくて我慢して、それで余計に爆発したり、もしくは育児の方針なんかで揉めたりなど、子どもが小さいからこそのもめごとが多かった気がします。
敏感な息子だったので、中学はじめくらいまでは、夫とわたしが会話するだけで「ケンカするな!」とパニックになっていました(ケンカしているように聞こえるらしい)。
ですが、最近は夫の意見やわたしの意見を冷静に聞けるようになり、息子があまり動じなくなりました。
言い合いになっても「何意味わかんないこと言ってるの」「バカじゃん」など、言うようになり、そういうときに息子の成長を感じます。
そして最後にひとつ、それは「夫の仕事がヒマになったこと」。
60代後半までは責任ある職を任されプレッシャーがひどかったようですが、徐々に要職を離れ、いまは嘱託。お気楽な身になりました。
おかげで給料も爆下がりですが、夫は出世競争なども嫌いだし、仕事に燃えるタイプでもない。社会にかじりつくよりものんびり余生を過ごしたいと思っているそうで。
やっとそういった余裕ができてきたようで、ここ2年くらいは本当に表情が柔らかくなりました。責任感の強い夫のことなので、当時は余裕がなかったのかもしれません。
わたしはわたしで、息子が小6のころからパートをはじめ、なんか心身ともに自分らしく動けるようになったせいか元気と自信を取り戻し始めました。
その後、パートだけでは体力の限界が来たときに稼げないと思い、ブログを立ち上げライターの仕事をすべく、あれこれ活動しました。
さらに登録していたお仕事サイトから会社の企画で仕事しないかとお声がかかり、知らぬ間にリモートワーカーに。家にいるのに机に向かいっぱなしという状態で、“家事に手が回らない度”がひどくなりました。
ですがもともとマメな夫、さらに趣味がないのでヒマらしく、最近は何も言わなくてもお皿を片づけてくれたりします。
そしてわたしがキーキー言いながら仕事をしていると「若い人は大変だよねぇー。俺はもうそういうのないからさぁ。うん、がんばってね」と謎にうえから目線で言ってくるのです。
うえから目線はなんだかなぁと思いますが、なんだかんだと言わなくても家事をしてくれるようになったのは本当に助かります。
夫によっては、退職してヒマになったくせにパートで忙しい妻に「メシ」「フロ」とか言ってる人もいるようなので、そういう意味では上等な夫なわけです。
嘱託になってからは、いままでは家で自分から話をしなかったのだけれど、最近はどうでもいい話を延々したりして、「まだ終わらんかな」なんて思うことも増えました。
たぶん夫自身の心の余裕と、わたしも仕事を持ったことによって自分の発言に自信が持てるようになったからかなと思います。
自分でもまとっている雰囲気が変わったなと思うようになりました。
一時期は本気でこのまま夫婦関係を続けるのは無理だと思っていたのに、なんか最近「まぁこれでいっか」的な、悪くない居心地に変わってきています。
まさかこんな風に状況が変化すると思ってもいなかったので、なんだか不思議な気分です。あれこれ乗り越えた先まで、長くやってみないとわからないことってあるんだなぁと。
20歳年上の夫と、20年近く夫婦をやってきて、年齢や立ち位置、置かれている状況などによって、そのときの関係性も変わっていくんだと学びました。
もう波乱はごめんなので、穏やかに日々を過ごせて行けたらいいなと思います。
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