20歳年上の夫とマイペース高1息子と暮らすアラフィフ主婦ライター、塩辛いか乃です。
ちょっと、いやだいぶ昔の話になりますが、いまもバラエティで大活躍している有吉弘行さんって、昔は「猿岩石」というコンビを組んでいたのを知っていますか?
まだ芸人としてデビューしたての彼らは、当時人気だった番組の「ヒッチハイクの旅」という企画で、ある日突然バッグパック1つで旅をすることになります。その企画は大当たりし、みんなが夢中になって見ていました。
パッケージツアーが当たり前だった旅行スタイルから、行く場所をその場で決めながら旅をする「バッグパッカー」が大流行。当時わたしは大学生で、「海外放浪してみたい!」と影響を受けまくったひとりでした。
当時付き合っていた彼氏とわたしはお互い一人暮らし。お互い下宿生となると、ほぼ半同棲状態となってしまうのが常でしたがわたしも例にもれず、彼の家のテレビで猿岩石のヒッチハイクを見ながら「どっか行きたいよねー」と盛り上がり。
猿岩石は2人で旅をしていましたが、その当時沢木幸太郎の『深夜特急』や椎名誠のひとり旅の本なども流行っており、「行くならひとり旅っしょ」という共通認識をもとに、彼氏と私はお互い、夏休みを利用して興味のある国にひとり旅してみることにしました。
彼は「インドは人生観が変わるらしいから」とインドに行くことに決め、わたしは悩んだ末にトルコに行くことにしました。
地理に疎いわたしでしたが、世界史でいろいろな国の歴史を学んだときに気になっていたのが「イスタンブール」という土地。
シルクロード交易の通過点で、西洋と東洋の交流点。その場所柄、歴史が深く、オリエンタルな雰囲気にも魅了されました。
お国柄や安全について調べてみると、やはり中東が近いので少し危険な地域もあるけれど、おおむね安全とのこと。急にひらめいた「イスタンブール」という響きに導かれて、トルコに行くことに決めました。
旅先での出会い
格安航空券を買って、バッグパッカー御用達の『地球の歩き方』という本を買い、あとは防犯グッズなど旅の支度。強盗や客引きなど日本ではありえないことも起こるらしいので、そこはしっかり読み込んでおきました。
ワクワクと怖さが同居したまま、初めてのトルコへ出発。格安航空券をとったので、飛行機はモスクワでトランジットするアエロフロート。
ドキドキしながら乗り込みましたが、不安は飛行機のなかですぐに消えました。バッグパッカーが大流行していたため、飛行機の機内は同じようなひとり旅の大学生だらけだったのです。
私の隣に座った女性も、私と同じく大学生。長い航路、お互いどこを回ろうかと話に花が咲き、彼女が空港で知り合ったという男子学生も加わり、イスタンブールにつく頃には似たようなバッグパッカー大学生が7人になっていました。
空港から市内までの移動も不安だったのに、「みんなで行けば怖くない」と、みんなわワイワイと移動。あれ、ひとり旅って楽しい!
市街に無事到着し、お腹がすいたので港のB級グルメを楽しもうとみんなで港へ向かう。
港の船で取れたてのサバを揚げ、トルコ式のパンにはさんだ鯖サンドや、ムール貝にお米を詰めてスパイスで味付けして炊いた「ムール貝のひとくちピラフ」など、港にはおいしいものがたくさん!
トルコ料理はおいしいと聞いていたけれど、初日でトルコ料理のおいしさに目覚めてしまいました。
飛行機内で知り合った大学生同士、ワイワイと楽しんで、当日のホテルもどうしようという話に。みんな初日のホテルから決めずに来ているので、「せっかく一緒になったのだから一緒に泊まろう」と提案されました。
誰かが、「イスタンブールのユースホステルは安くていいかも」とのことで、みんなでユースホステルに泊って、晩ごはんを食べながら情報交換をしようということになりました。
みんな合言葉のように持っている『地球の歩き方』を片手に晩ごはん。わたしはトルコを一周しようと思ってきましたが、ほかの人は別の国に抜けるルートを組んでいる人もいました。
それぞれが考えてきたルートを聞くのもおもしろく、あっという間に1日目が終了。翌日からはそれぞれが考えたルートに向けて旅立ちます。
せっかくのご縁なので連絡先を交換してそれぞれのルートへ。わたしはイスタンブールから右回りに、奇岩で有名なカッパドキア、遺跡が有名なネムルトダァ、地中海リゾートのイズミル、やはり遺跡で名高いエフェス、温泉地で有名なブルサを周って、最後にイスタンブールでゆっくりする予定でした。
イスタンブールは東西の交流点。イスタンブールのゲストハウスでは、毎日東から西に行く旅人、西から来た旅人、いろんな人がやってきて、その人たちの旅の話を聞くだけでも楽しくてワクワクし、気が合えば一緒にお酒を飲んで夜中まで語り、本当にそれだけでも楽しい日々でした。
目に入るものすべてが新鮮で、出会う人もすべてが新鮮。わたしはこういう、新鮮なことに出会うのが大好きなのです。
そしてそこから回ったそれぞれの都市も、この記事では語りつくせないほど魅力が満点!食べ物も人柄もハプニングも、すべてがわたしの糧になる思い出です。