「自分の責任で犬を扱う」という思い
最近、いろいろな「犬の飼い主」さんたちから相談を受けます。
以前、育てていた保護犬をとある方に譲渡しました。その当時で7〜8歳の犬でしたので、数年後のいま、生きているってのが素晴らしいんですが、その犬の容態がおかしくなってから相談を受けたんです。
推定11~13歳くらいの雑種です。とっても大人しいいい子でして、その子の後ろ脚が弱って自力で立てないっていう相談から始まりました。
床が滑ることを考えてカーペットを敷いてもらったり、生活環境の見直しを含め、老犬について話をしたんですが、私は獣医ではありませんので、まず獣医に相談するということを真っ先にすすめました。
すると飼い主さんは、「半年前には検査を受けた」というんです。
血液検査の結果では、とくに異常は見当たらず、レントゲン検査では高齢による関節炎と判断され、痛み止めを与えるように、半年前に薬を処方されていたようです。
なのに、薬を投与してなかったんです。なぜ、薬を飲ませなかったのか?と尋ねると、飼い主さんは「犬を飼っている人から、薬の副作用の話をされて…」っていうんですよ。
どうやら、同じ関節炎の犬を飼っている友人さんからのアドバイスで、「この薬は危険!」っていわれたそうです。
愛犬の体調を知るには、きちんと犬を観察できる目が必要
犬の個体もさまざま違います。「この薬は危険」と押し付けるのではなく、「あくまでも自分の犬はこうだったよ…」と飼い主さんに選ばせるべきではないでしょうか。
その副作用の危険性をアドバイスされた飼い主さんは、ハーブをすすめられ、薬の変わりに自分の犬にそれを与えていたらしいです…。これ、「無責任」っていうんです。
アドバイスした人も、飼い主も…両方、犬に対して「無責任」ではないでしょうか。
自分の犬がハーブで効果が出たからといって、獣医がすすめた薬を飲ませずに、犬にすすめるなんて知ったかぶりにもほどがあります。こういう「混乱」はものすごくあります。
私は獣医で処方された薬に対しても「疑い」を感じるタイプなんで、いろいろと調べますが、調べるときにはもう「混乱」覚悟です。
私の場合はほかの一般の犬の飼い主さんたちに比べ扱ってきた犬の数が違いますから、大抵の「副作用」は、直に感じて知っていたりもしますが、なかには「え?」と私が驚くような副作用が出る犬もいます。
でも私は、薬に対しては多かれ少なかれ「副作用」というものがつきものだと思っているので、他人(素人)のアドバイスで投与しないとか、その代わりににハーブを与えることはしません。
かといって、東洋医学を否定しているとか、西洋医学を否定するとか、そういうことではなく、「自分の責任で犬を扱う」という断固たる思いがあるだけです。
言葉をつかえない犬の体調を知るには、きちんと犬を観察できる目が必要です。
犬がかゆがっている?くらいは、どの飼い主もわかるでしょうけど、犬の「痛み」や「不快感」には、ほとんどの人が鈍感です。
せいぜい食欲がないとか、お腹を下しているとか、そういう場合には犬の不調を勘ぐることはできるでしょうけど。
このように「混乱」を招く友人のアドバイスだったり、ネットでの情報だったりがある中、正解を出すのは「自分」ということなんです。