断る勇気が成果を生む。この言葉を聞いて、「いいたいことはわかるんだけどな~!」と思う方も多いと思います。
自分の業務に集中した方が確実に成果を出すことができる。しかし、やらなければならない業務は、次から次に出てきます。それを断ったら誰かがならなきゃならない。
ほかにできる人もいない。だから、自分がやるしかない。「断れたら楽ですよ!」そう思うでしょう。
根本の原因は、マネジメントにあり
このような状況になる原因のひとつは、マネジメントにあります。マネージャーが、ほかの業務を受けられるような業務計画をし、「見える化」していないからです。
本当に忙しければ、ほかの業務に手を出すことなどできません。「申し訳ないけど、いまそれどころではないんで…」と断るしかありません。ほかの業務を受けられる余裕を与えられているのが問題なのです。
そんな話をするとマネージャーは、「勝手に業務を抱え込んでいるんです」「後になって、突発が入ったからと言い訳してきます」と責任逃れの話をしてくる。
つまり、本来は他の業務を受けるほど余裕があるはずがないのに、勝手に受けているということ。実際に確認すると、部下は自分の納期に余裕があるわけでもないのに「仕方がない」と受けていることも少なくありません。
なぜ私たちは仕事を受けてしまうのか
仕事を受けてしまう理由は、大きく分けてふたつあります。ひとつは、少しシビアないい方になってしまいますが、「言い訳をつくっておきたいから」です。
自分の業務が遅れた際や品質が期待値まで達しなかった際に「ほかの業務が入ってしまった」という言い訳になる。これであれば、まだキズが浅いといえます。
問題はふたつめの、「仕事をすることに満足している」ということ。
本来自分の課せられた業務を蔑ろにしてまでも、誰もがやりたがらないような業務をやることで仕事をしていることに満足しているのです。
それこそ、「自分がやらなければ…」と使命感を持って取り組んでいます。きっと、自分がやることで仕事も早く回るのでしょう。組織全体の業務も回るのでしょう。理屈はわかります。
しかし、自分の課せられた業務を蔑ろにしてまでもそれを行なうことが、組織として正しいのか?最も成果が出るのか?…これまでの経験からいえば、間違いなく、答えはNoです。
妥協する方向を間違えてはいけない
嘘だと思って、自分の業務に専念してみてください。初めは困ると思いますが、何とかなります。それが組織というものです。緊急性が高いからといって、妥協する方向を間違ってはいけません。
「自分が犠牲になれば…」などと考えている人もいますが、それは大きな間違い。その良心が組織の問題を潜在化させます。組織の成長を阻んでいます。
そう。断ることは、自分自身の成果を生み出すことでもありますが、組織の問題を顕在化させることにもなるのです。
いい方に配慮する必要がありますが、自分のためにも、組織のためにもしっかりと断る。周りをもっと信じること。そして、自分の仕事に責任を持つことです。それが本当の使命感なのです。
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