新型コロナウイルスの感染が全国に拡大し、「緊急事態宣言」が出されてから、原則休園や登園自粛を発表する自治体が相次ぎました。テレワークなど在宅で仕事ができる保護者は、自宅で保育を行うよう要請する園も増えています。
しかし、子育てを経験したことがある方ならわかるでしょう。幼い子どもがいる環境で仕事をすることが、どれほど大変であるかを…!
今回は、新型コロナで原則休園になった保育園・幼稚園に子どもを通わせるふたりのママにインタビュー。「子どものいるテレワーク」の実態を聞いてみました。
テレワークで子どもが置き去りに?
まず話を聞いたのは、全国の小中学校の一斉休校と同時に「原則休園」になった幼稚園に5歳の子どもを通わせるフルタイム勤務ママ。3月から会社もテレワークに切り替わり、子どもを世話しながらの在宅勤務がスタートしたといいます。
「子どものいるテレワーク」が始まって1カ月半が過ぎ、「精神的にも肉体的にも限界で、仕事が進まず、子どもに笑顔で接することができない時期もあったけど、なんとか乗り越えられたかな」という彼女は、どんな工夫をし、どう乗り越えたのでしょうか。
―原則休園になってから、どのようにして子どもと過ごされたのでしょう?
原則休園が発表されたのは、政府が一斉休校を伝えた当日の夜。翌日が保護者面談だったので、保護者宛の一斉通知が届く前に、担任から「面談をリスケしてほしい」と連絡がありました。園も混乱していたのでしょう。慌ただしく先生方が対応にあたる声が電話口から聞こえました。
そのころはまだ会社もテレワークになっていなかったので、担任からの電話を切ったあと、まずは上司に報告。その後すぐに遠方に住む母にヘルプを出しました。
ちょうど翌々週から春休みで上京してもらうことになっていたので、予定を早めてもらったのです。園がもしかすると春休みに補講を行う可能性もあったため、最初の2週間は自宅で過ごすことにして、その後(まだコロナ疎開が問題になる前に)実家に拠点を移し、テレワークをさせてもらいました。
―会社も、お母様も、すごく柔軟な対応!恵まれていますね。
本当にそう思い、感謝しています。ただ、やっぱりしんどかったですよ…。
母はもともと小学校教師をしていて、いまもボランティアで子どもたちに絵本の読み聞かせや学習サポートをしており、子どもの扱いに慣れているのですが、慣れないわが家での滞在が長引くにつれ、疲れがみえてきました。そんな母に対する申し訳なさで毎日心苦しかったですね。
あと母が何気なく言った、「テレワークって、こんなにも子どもが置き去りになるんだね」という言葉。
会社には、毎日時間ごとに何をやったかといった業務報告とアプトプットを提示しなければならないので、子どもに構っている暇はありません。日中はほとんど母に任せっぱなしで、別室にこもって仕事をしていました。残業せずに業務を終わらせ、母の負担を軽減しようと必死でしたね。
―職場には、子どもがいることを言い訳にできなかったのですか?
そうですね…。できないというか、しちゃいけないと思っていました。それで、「ママー!」とやってくる子どもをすぐに追い返したり、Web会議の前には「◯時まではぜーったいに入ってきちゃダメ!うるさくするのもダメ!」と厳しく言ってしまって…。母が見かねて外に連れ出してくれたりしていたのですが、ションボリする孫を見て、かわいそうに思ったのかもしれません…。
―仕事に集中したいのにできない、子どもに構ってあげたいのにできない。葛藤ですよね。
子どもに対しても申し訳ない気持ちがどんどん募っていきましたね…。あと、業務時間中でも子どもや母に対応しなければならないタイミングがあり、会社に対する後ろめたさも感じていました。