「仕事ができないのは私だけじゃないんだ」という安堵
緊急事態宣言後に認可保育園なども休みになり、子どもをみながらテレワークをする人が増えたことで、「テレワークで育児無理」「いつもの半分も仕事消化できない」「全然集中できない」「イライラして進まない」「心が持たない」という声をネットでよく見かけるようになったのです。
それで、「この状況が無理だと思っているのは、私だけじゃないんだ」って気づいたことがひとつ。もうひとつは、「いまは仕方ないよね」って開き直れたからだと思います。
―プレッシャーが少し和らいだということでしょうか?
そうですね。それまでは、「テレワークになるまでこれくらいのアウトプットを出していたから、それと同じだけやらなきゃ」って、すごく必死になってやっていました。だから、子どもに中断させられるとイラッとしてしまっていたし、できない自分にモヤモヤしてたんだと思います。
でも「子育ても同時並行なんだもん、これまで通りにはできないよね」って、変な使命感に縛られていた自分に気づいたんです。「そういえば、社内には、無理しないでねっていって声をかけてくれる人もいたな」って。
―自分で自分を追い込んでしまっていたんですね。
はい。もちろん仕事をする以上、求められる成果を追い求めなければいけません。でも、どうすればそれができるかを考えると、やっぱり「無理をしないこと」「サポートしてもらうこと」が大事だったんですよね。
このままでは精神的に崩壊すると思ったので、就寝前や勤務時間前にやっていた情報収集などの準備をすることを辞めて、オン・オフをしっかりつけるようにしました。
また、子どもが話しかけてくるのも当たり前、その相手をしなきゃいけないのも当たり前、終わらないなら少し残業すればいいって、思考の転換を行ないました。
夫には仕事の仕分けをして在宅勤務を増やしてもらい、会社には「これまで通りのアウトプットは難しいと思います」と正直なところを伝えました。
「100%を追い求めない」が鉄則
―背負っていたものを手放せたことで、ラクになれたのですね。
はい。いまは、仕事にしても家事にしても、意識して「生産性」や「効率」を考えないようにしています。「申し訳ないけれど、いまは100%以上を出すのは無理。でも、できるだけやろう」という風に考え方を変えたら、ずいぶんラクになりました。
相変わらず子どもは業務時間中に頻繁に話しかけてくるし、YouTubeタイムは長いし、相手をしてあげられないことも多いけれど、いまでは「それでもいいじゃん。緊急事態だもん、仕方ないじゃん」って思っています。
―心身の健康が第一ですね。
そうですね。ちゃんと休めているからか、不思議とイライラすることも減り、少し仕事も捗るようになった気がします。「子どものいるテレワーク」は、やっぱりとっても大変ですけどね(笑)。
自分を甘やかす、許してあげることが大切
長期化する可能性もあるコロナ休校。「いま精一杯頑張るのではなく、長く仕事と育児を両立できる自分でいられることを大切にしなければと思います」と彼女が言うように、「子どものいるテレワーク」を乗り切るには、自分をちょっぴり甘やかしてあげることも大事なのかもしれません。
次に話を聞いたのは、4歳児と0歳児の子どもを持つ時短ママ。この4月に育休から復帰する予定だった彼女は、元気いっぱいの幼児と手のかかる乳幼児を自宅で保育しながらのテレワークを続けられるかどうか、不安を抱えているといいます。