園や学校など、子どもを通して親しくなる「ママ友」。
情報交換ができたり悩みを相談できたり、自分と同じように家事や育児をがんばるママ友は心強い味方になってくれる反面、距離感を間違えると思わぬトラブルが発生することもあります。
精神的に自立できていないママ友の場合、こちらに依存され振り回されるとストレスが溜まるもの。
「距離感を無視するママ友」とはどんな問題が起こるのか、実際のケースをご紹介します。
「何でも同じ」が当たり前!?(36歳/サービス業)

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「幼稚園の行事で知り合い、仲よくなったママ友のAさん。
おっとりした雰囲気で話しやすく、うちと同じく一男一女で子育ての話でよく盛り上がりました。
子ども同士も仲がよく、『小学校に上がっても楽しくやっていこうね』と言い合えるのもうれしかったのですが…。
小学校では子どもたちは別のクラスになり、それでもそれぞれの家に遊びに行っては園のときと同じように親しいお付き合いが続いていました。
あるとき、息子がプール教室に通うことになりそれをAさんに話すと『うちもやってみようかな』と言われて一緒に行きました。
『やっぱり○○くんと同じがいいのね』と自分の息子を見つめながらAさんが口にしたのは覚えていますが、絵の具のセットを学校で購入することになると『○○くんはどれにしたの?』と尋ねたり、体操服の販売があると『○○くんは長ズボンは買うの?』と確認してきたり、とにかく息子とおそろいにしたがって。
『○○くんにも好みがあるんじゃない?』とそれとなく聞いてみたら、『息子は○○くんと同じがいいのよ』とあっさり返されて、何でも揃えてくることに少し違和感はあるけれど大きな問題ではないし、とそれ以上は言いませんでした。
書道のセットを学校から買う話があり、また『○○くんは何番にしたの?』と聞かれて答えたけれど注文する間際になって息子は別のものに変更し、それが届いてから『息子が直前になってこれがいいと言ってきて』とAさんに話したとき。
『変えたのならどうして言ってくれなかったの?』とAさんは不機嫌になり、びっくりしました。
『同じものを買おうね』と約束したことはないし、うちの息子はAさんのお子さんとおそろいにしたいとか言ったことはないし、自由に選ばせているだけなのですよね…。
一方的に機嫌を悪くされて謝るのもおかしくて、この件以来Aさんとは距離を置くようにしました。
私が離れているのを察したのかAさんから無理に誘われることはなく、寂しいけれど仕方ないなと思っていたのですが、ある日別のママ友から『○○さんが、あなたが冷たいって愚痴っていたよ』と連絡をもらい、また驚きました。
話を聞いてみると、何もしていないのに私に避けられている、息子も寂しがっているとこれまた一方的な内容で、そのママ友にAさんと何でもおそろいにされてストレスを感じていたことを打ち明けました。
『それって、○○くんは同じがいいって本当に言っているのかな?』『○○くんじゃなくて、自分があなたとおそろいにしたい言い訳のような気がする』とママ友も首をかしげていて、確認のしようがないことで考えてもきりがないけれど、Aさんのやり方は受け入れられないな、と改めて思いました。
仲よくしたいと思ってくれるのはうれしいですが、子どもの自由を制限してまで合わせられるとさすがに窮屈かなと思います」(36歳/サービス業)
本当のストレスは、何でもこちらとおそろいにされることではなく、それを当たり前にするのを暗黙のルールのように押し付けられる流れではないでしょうか。
仲良しの子と同じにしたい気持ちは誰でもあるかもしれませんが、問題はそれを本人が言うのではなく母親が「そうするべき」と決めてしまっていることです。
それはあくまでもAさんの都合であり、こちらは何も約束していないし子の自由にさせていて、急な変更に怒りを見せられても困りますよね。
自分の振る舞いが相手にはプレッシャーになるのがわからないのは依存でもあり、「合わせること」を強制されるとお付き合いが難しくなるのは当然です。
おそろいにすることで自分たちの仲も深まる、ともし思われていても、付き合えない以上はかえって心の距離が広がってしまいます。
お互いに保ちたい距離感を見極めることも、風通しのいい関係では大切ですね。